Photo of the Day
バックナンバー
2003年9月1日(月) Kiss Digital専用の“広角”ズームレンズ
キヤノン・EOS Kiss Digital + EF-S 18〜55mmF3.5〜5.6 USMKiss Digitalにはこのレンズ“専用”の3倍ズームレンズがあって、それが「EF-S 18〜35mmF4〜5.6 USM」です。この専用ズームレンズとセットにして販売される「レンズキット」の実売価格は14万円前後になるらしい。メモリーカード以外の付属品はすべてそろってワンパッケージにされている。もちろんボディ単体(と、付属品)の発売もされる予定で、こちらのほうの実売予想価格は12万円前後ということです。この価格をどう見るかは人それぞれの価値観の違いでしょうが、600万画素クラスのデジタル一眼レフカメラとしてはメチャクチャ安い(いまの時点では)と思います。それでなくても“衝撃的”なボディ単体の価格ですが、これも来年になれば(春になるか夏になるかわかりませんが)10万円を下回る値段で売る店があちこちに出てきそうな予感もします。
EF-S 18〜35mmズームはショートバックフォーカス光学系を取り入れて小型軽量に仕上げた“広角ズームレンズ”です。バックフォーカスとはレンズ後端部から撮像面までの距離のこと(ちなみにフランジバックとはマウント面から撮像面までの距離のことです)。EF-S 18〜35mmズームはフランジバックは従来のEFレンズと同じ長さなのですが、バックフォーカスを短くして設計されている。こうした光学系を採用することで、つまり構成レンズ群を少し後ろに移動させることで、Kiss Digitalの小さな実画面サイズ(APS-Cサイズ)に最適化させながら小さくて軽くて低価格の広角ズームレンズが作れるというわけなのです。
ただショートバックフォーカスにしたため、レンズの後端部が少し出っ張ってしまいますから、ボディ側でその出っ張りがぶつからないようにしておかなくてはなりません。Kiss Digitalにはそれに対応したボディ設計になっているのですが、他のEOSの機種はそんなレンズが出ることを考えて設計されていませんからブツかってしまって取り付けることができないのです。
2003年9月2日(火) 本日は、ハナシがくどくて長くなってしまいました
キヤノン・EOS Kiss Digital + EF 55〜200mmF4.5〜5.6 USMKiss Digitalの610万画素CMOSセンサーは、いちおう、EOS 10Dのものと同じということになっておりますが、厳密に言えば少し“違う”(というようなことを、ある人から非公式に聞きました)。10DのCMOSと実画面サイズはまったく同じだが、その周辺部の回路部を整理してコンパクトにまとめ、その結果センサーサイズを小型に仕上げておるそうです。より小型になればウエハーから取れるCMOSセンサーの数も多くなり、それだけ歩留まりが向上し、ひいてはコストダウンにつながる。
さらに、以下は想像ですが、センサーの小型化のためだけの回路部の見直しではないはずですから、きっと10Dのものに比べるとノイズなども微妙に抑えられてブラッシュアップされておるんではないか、と思うわけです。
でもしかし、Kiss Digitalを使って「やっぱりEOS 10Dのほうがイイなあ」と思ったのは、デジタル画像の品質のことではなくて撮影機能のあれこれの物足りなさでした。
そもそも、デジタルカメラといえども「カメラ」であることは揺るぎない事実であって、写真を撮るためにどれだけ気持ちよくそして確実に写せる道具に仕上がっているかどうかは、とても大事なことだと思っています。ややもするとデジタルカメラを評価するときに、画質のことだけを取り上げてアレコレ痛罵し、だからこのカメラはダメなんだ、ときわめて一面的に捉えて断を下す傾向なきにしもあらずです。デジタルカメラはデジタル部と撮影部とを総合的に見て評価しなけりゃいかんと考えます。
というわけでKiss Digitalですが、画質ではなくAFと測光など撮影部関連に少し不満を感じました。AFはワンショットAFやAIサーボAFなど、測光は35分割評価測光、中央部重点測光、部分測光などの多機能を“持ちながら”、しかしそれぞれを自分で選んで設定することができない。Kiss Digitalのなすがまま、アナタまかせなのです。それに不満を持ったわけですが詳細は、後日。
ところで画質についてなんですが、ひとつ、ちょっと理解しておかなくてはKiss Digitalを根本から誤解してしまうことがありまして、その説明も機会があれば後日に。
2003年9月3日(水)
2003年9月4日(木)
2003年9月5日(金) 28mmからのワイドズームがイイですねえ
リコー・Caplio G4 WideCaplio G3のほうは35〜105mm相当の3倍ズームレンズを内蔵させた300万画素機種だが、この新しいG4には28〜85mm相当の“ワイドズームレンズ”が内蔵されております。ボディの横長も約10mmほど短くなってぐっと引き締まったスタイルになりました。また、ボディ背面の操作ボタン類の見直しがはかられ、デジタルカメラでもっとも頻繁にモード切り替えをする機能を ―― たとえば、露出補正、ホワイトバランス、ISO感度 ―― 素早く選択して設定できるように独立したアジャストボタンを新設した。このボタンによる操作性がめちゃよろしくて、G3と比べると格段に、月とスッポンほどの違いをぼくは感じました。
内蔵のワイドズームレンズのことはさておいて(イイのですよ)、G3からG4になってその画像が大変に良くなっているのにぼくは大いに感心しました。G3も、その前のRR30も、新G4と中身は、つまりCCDなどは同じなんですが、いわゆる絵づくりでリコーはかなりがんばったんでしょうね、ぐんっと良くなってきていますねえ。いままでの、いかにもデジタル画像ッ、というようなパリパリした画質ではなく、とてもナチュラルな画質になって色調にも落ち着きが出てきました。オートホワイトバランスも安定しています。
28mmからのワイドズームというと、少しこだわり派の人向けという印象も否めませんが、短いレリーズタイムラグと正確なAFとが、G4 Wideのワイドズームがぴったりとマッチして、使っていてすこぶる心地よいです。ぼくはいま毎日持ち歩いております。
2003年9月6日(土) 広角側焦点距離の数mmの差について
リコー・Caplio G4 Wideところで、G4には28〜85mm相当の“ワイド”ズームの内蔵された「G4 Wide」と、いままでのRR30やG3と同じ35〜105mm相当の“標準”ズームを内蔵した「G4」の二種類があります。ぼくの好みから言えば、もう文句なしにG4 Wideです。理由は28mm広角から撮影ができるからです。35mmと28mmとじゃあそう大差はないじゃないか、とおっしゃる向きもありましょうけれど、それはちょっと、どころか、大変な違いがあります。広角側焦点距離の1mmは望遠側焦点距離の3mmから5mmに相当する、ともいわれておりまして ―― レンズ設計も数倍難しくなる ―― 広角側に数mm焦点距離が違っただけで描写印象はごろっと変化します。
これに対して望遠側焦点距離の数mmの違いは、たとえば85mmと105mmでは(わかりやすく少し大袈裟に言いますが)1〜2歩前後するだけでその差をカバーできます。しかし広角側の数mmの焦点距離の差をカバーするのは望遠ほど“カンタン”ではない。広く写したければ後ろにさがればいいじゃないかと考える人がいるかも知れませんが、ところがどっこい、35mmと28mmとでは遠近感(パースペクティブ)描写がかなり異なりますから、そう考えるほどうまい具合にいかないのでして、だから広角レンズは上手に使いこなすのが難しいと言われるのです…。
35mmよりも28mmの描写のほうがいいのだ、とこだわっている人は、ただ単純に広く写るからいいのではなくて(ソレも重要ですけど)その遠近感の描写具合のほうを大事にしているはずです。コンパクトデジタルカメラ内蔵ズームレンズのワイド端は40mm〜35mmのものが圧倒的に多い。一眼デジタルカメラの多くも、撮像素子サイズが小さいためどうしても広角描写がないがしろにされてしまいがちでありまして、だから28mmからのズーム(ここがポイント)内蔵コンパクトデジタルカメラが注目されるわけです。
2003年9月7日(日) CCDシフト方式の手ブレ補正機能は、素晴らしいッ
ミノルタ・DiMAGE A1ディマージュ7、7i、7Hi(限定生産モデル)とつづいた7シリーズが大幅なモデルチェンジがされまして、同時に機種名も「A1」と変更された。コニカとの合併により、気分一新というところでありましょうか。10月1日に正式に「コニカミノルタカメラ」が発足するためいまはちょっと中途半端な状態でして、このカメラを正しく呼ぶときは(現段階では)「コニカミノルタグループのミノルタ・ディマージュA1」となります。…どーでもイイですけどね、こんなこと。
モデルチェンジによるおもな変更点は、電源が単3型乾電池4本使用から専用のリチュウムイオンパックになったこと(これで不安定だった電源まわりが大幅に改善されました)。AFが機能アップされて11点のワイドAFになり、高速化もされ、さらに前後左右の動きにピントが追随する3D AFモードが搭載されました(AFのスピードアップはともかくもA1のウリのひとつでもある3D AFはいささか期待はずれでした…)。CCDは同じ500万画素ですが原色フィルターのプログレッシブタイプになりました(画質はシャープがかかりすぎてカリカリしておりました)。28〜200mm相当の内蔵ズームレンズや“宇宙人的”なボディ外観などはそのままです。
それはさておき、A1のもっとも注目すべき新機能はCCDシフト方式による手ブレ補正を内蔵させたことでしょう。“手ブレ補正フリーク”のぼくとしては興味津々でしたから、とことんあれこれ試してみましたけれど、モウ素晴らしいーッ、のひとことです。この手ブレ補正方式を「AS(Anti-Shake)」と呼んでおるのですが、キャノンのISやニコンのVRよりもASのほうが手ブレ補正は“効き”ます。もう、コレだけで、コノ機能があるだけでA1の存在価値は十分にあります。*ist DやKiss Digital、D2Hの発表でちょっとカゲの薄くなっている感のあるA1ですが、いやいやなかなか、要注目のカメラに仕上がっておりますぞ。
2003年9月8日(月) 望遠マクロ撮影時の手ブレ補正効果
ミノルタ・DiMAGE A1CCDは同じ2/3インチ型500万画素なのだが旧7系は原色フィルタ・インターレスタイプだったが、新A系では原色フィルターのままプログレッシブタイプのCCDになった。そのせいなんだろうか、A1の画像はややエッジ強調されたような感があって、さらにその色調は彩度が高く色が鮮やか(に、すぎる)。当初、ディフォルトで撮影をしていたのだが、旧7系とあまりにも“違う”のに少し戸惑いまして、そこで、メニュー画面でシャープネスを「マイナス1」に設定して撮影を続けましたら、まあなんとか、ほっとする画像が得られるようになりました。…でも、ナンと言いましょうか、関西をフランチャイズにするミノルタにはぼくも関西出身ですから親近感を抱きつつどうしても身贔屓してしまいがちです。
A1の手ブレ補正の機構(AS)は、撮像素子そのものを機敏に動かしてブレを補正する。レンズ群の中の一部のレンズを動かしてブレ補正をするキヤノン(IS)やニコン(VR)とはまったく違うやり方ですが、直角に配置された角速度センサーを使ってブレ量と方向、速度を検知するということについては同じです。CCDを動かすアクチュエーターには反応速度がきわめて速いピエゾ素子が使用されています。
ISもVRも、どんなに精度がアップしてもマクロレンズには「搭載不可能」だと言われております。クローズアップ撮影時に起こる手ブレがピッチング(またはヨーイング)だけでなく、いわゆる平行ブレをしたり、前後方向にブレたりと、角速度センサーの検知能力を超えた動き(ブレ)をしたり、あるいは光学補正やCCD補正ではとても対応補正できないブレ量が発生するからだそうです。というわけで、A1を受け取ったときにぼくがいちばん興味を持ったのは、望遠マクロモードで撮影をしたときに、いったいどれくらい手ブレが補正されるだろうかということだったのです。結論だけ言いますと、予想以上の、それなりの補正効果があったように感じました。
2003年9月9日(火)
2003年9月10日(水) 幅広い階調描写力を備えている、といわれるF700ですが
フジ・FinePix F700今春に発表し、5月発売の予定だったこのF700は、ずるずると遅れに遅れて結局、9月の中旬の発売となりました。遅れた原因は定かではないのだが(フジは「部品調達の遅れ」と発表したけれど)どうも想像するに、F700に初めて搭載する第四世代スーパーCCDハニカムの「SR」のほうのチューニングに手間取っていたのではないか。F410やS5000に搭載の「HR」のほうは、ただ単にフォトセンサーを小型化しただけのものだが ―― というほど簡単なもんではないけどね ―― しかし「SR」のほうは小さなフォトセンサーと大きなフォトセンサーをペアにすることで、高感度域から低感度域まで幅広い領域の光を受け取りそれを画像に反映できるという、ちょっとややこしいけどともかく素晴らしい撮像素子センサー、というふれ込みだったのです。が、明部と暗部を“どこまで出すか”がキーポイントであるように思っておりました。
スーパーCCDハニカム「SR」の構造とそのはたす役割を説明しだすと(ぼくの能力では)とてもカンタンには終わりそうにありませんので、以下、省略ということで…。ともかく小さな素子が310万画素、大きな素子が310万画素ありまして、あわせて620万画素のCCDなんですが、実質的な解像力は300万画素から400万画素クラスと言われておりますが、このへんの理屈もよくぼくはわかっておりません。
ということで、なんといっても「SR」の、というかF700の特徴は(同じクラスの)デジタルカメラよりもずっと幅広い階調描写力を持っていることなのです。通常ならトンでしまうようなハイエストライト部から、あるいは真っ黒にツブれてしまうようなディープシャドー部の描写も、そこそこできる、というのです。以上はフジのふれ込みでして、で、実際にF700を使ってハイコントラストな被写体を撮影し子細に画像チェックしましたら、そういわれてみればハイライト部のディテール描写は、まあ、それなりに良いかなあ、という印象でした。シャドー部の描写のほうは、相変わらず少しノイズっぽくってそれが足を引っ張ってよくわかりませんでした。
2003年9月11日(木) 「広角側固定のマクロモード」を改善してちょうだい
フジ・FinePix F700 F700のボディは横長スタイルで金属外装。ホールディング感もかなかなかよろしくて、カメラを握ったときの高級感もあります。メインスイッチをONにして撮影スタンバイまで約1.2秒という高速起動が使っていてじつに気持ちいいです。連写速度もかなり高速です。撮影モードもプログラムモードのほか、絞り優先AE、シャッタースピード優先AE、マニュアル露出モード、そして4種類のシーンモードまで備えております。
といった優れた撮影機能の中での唯一の(ぼくの)不満はマクロ撮影のときで、フジはほとんどの機種がそうなんだけど、マクロモードにするとズームレンズが強制的に広角側に固定されてしまい、いっさいのズーミングができなくなる。いい加減この「広角マクロ固定」を改善して欲しいよなあ。
F700のスーパーCCDハニカム「SR」について、もう少し。
大きなセンサー (S画素) と小さなセンサー(R画素)を使って幅広い階調描写を可能にするというアイディアは、もともとはフィルムに採用されていたものだそうです。大きな粒子と小さな粒子を上下二層に塗り込めて、暗い光を大きな粒子で受け明るい光を小さな粒子でうけて感光する。
だから、きっと経験したことがあるかと思いますが、同じフィルムを使っていても高輝度被写体を写すとじつに微粒子でシャープに写るんだけど、しかし暗い低輝度被写体になるとなんだかざらっとした粒状を感じるといのはこのためなのです。でも、このF700のS画素とR画素の関係はフィルムの大小の感光粒子とは当然ながらぴったり同じことではありません ―― 光を電気信号に変換してデジタル補間処理などをやってますので。
なのに、F700で撮影した低輝度被写体のシャドー部がノイズっぽくて、どこかフィルム写真のように感じてしまうたびに、ちょっとアタマが混乱してしまいます。
2003年9月12日(金)
2003年9月13日(土)
2003年9月14日(日) シルバーモデルよりもブラックモデルがよろしいぞ
リコー・Caplio G4 Wide このG4 Wideにはボディカラーにシルバーとブラックがある。しばらくシルバーモデルを使っていたのだが、先日、ひょんなことからブラックモデルを借りることができました。写真で見たときはレンズ鏡筒まわりの銀ピカがちょっとイヤだったんだけど、さて実物を手にしてみるとそれほと気にするほどのものでもなく、ブラックモデルのほうがシルバーモデルよりもずいぶんとシャープで高級な感じがします。もしG4 Wideを候補機種にしているなら、ぜひ店頭でその両機種をならべてじっくりと見比べてから決められるとよろしいかと ―― おそらくブラックモデルのほうに、グラッ、とくることでしょう。
G4 Wideは最近発売されたコンパクトデジタルカメラの中では、いま個人的にはとても気に入っている一台です。だからよく使い込み、撮影をしました。もちろん、使っているうちにあれこれ不満も見つかりましたが、でもそんなことはまあいいやっ、と思わせる不思議な魅力を秘めたカメラです。
ところでぼくが感じた不満とは、ひとつは望遠側での遠景描写がちょっとアマいこと ―― これはメニュー内のシャープネス設定モードで“シャープ”を選んでしのいでおります。なお、28mm広角側では被写体によっては“ソフト”を選んで撮影したほうが仕上がりが良くなることもあります。ふたつめは液晶モニターの視認性が、とくに明るい戸外などであまりよろしくないこと ―― この対処方法としては積極的に光学ファインダーを覗くようにして不満を解消しております。圧倒的に28mm広角端で撮影することが多かったため、光学ファインダーでフレーミングすることにそれほど抵抗感はありませんでしたし、このほうがスピーディーに撮影ができて、逆にこれがまたよろしかったです。
2003年9月15日(月) オーバーホールから戻ってきたぞ、ライカM5
リコー・Caplio G4 Wide G4 Wideの“良さ”は ―― G3もそうだけど ―― AFがスピーディーでなおかつピンぼけが少ないことです。これは、CCD測距方式と外部測距方式の二本立て、つまりハイブリッド型のAFセンサーを備えているのも一因です。イッキにシャッターボタンを押し込んでも、すぐにシャッターが切れるのは(短いシャッタータイムラグ)ひとつにはこの高速反応するAFのためです。CCD測距(TTL測距)のカメラでは、シャッターボタンを押し込んでも、ククククッとピント合わせに手間取っていてかんじんのチャンスを逃してしまい、もうどうでもいいやっ、と思った頃にシャッターがこつんっと切れるカメラもあります。
先日、測光腕木が出てこなくなっていたライカM5をようやくオーバーホールしました。どこにオーバーホールを頼むか悩んでいたのですが(ヘンなところに頼むと悪くなって戻ってくることもある)、やはりM5オーバーホールではつとに定評のある人のところに頼みました。若い人なのですが、とても丁寧で技術的にもしっかりしていました。オーバーホールがすんだM5を受け取るときに、どくとくのシャッターボタンストロークがあるのですが、ぼくの好みにあうように一時間以上もかけて微調整もしてもらいました。料金はとても良心的でした。
オーバーホールは、とにかくいったんM5をばらばらに分解して ―― その様子を無理を言って見せてもらいました ―― そのあと丁寧に部品のひとつひとつを洗浄して、それを調整をしながら組み立てていくのです。バラすときに見たM5の複雑なメカニズムには、ぼくはもうすっかり感服してしまいました。ライカM型カメラの中ではM3がダントツにいいカメラだと思っていましたが、いやいや、やはりM5が秀逸です。すこぶるつきの名機でしょう。
いま、ズミルックス35mmF1.4をセットして、オーバーホールから戻ってきたM5で撮影をるんるん楽しんでおります。
2003年9月16日(火)
2003年9月17日(水)
2003年9月18日(木)
2003年9月19日(金)
2003年9月20日(土) Z1にこそ手ぶれ補正機能が欲しかったけれど…
コニカミノルタ・DiMAGE Z1 Z1は、38〜380mm相当の10倍ズームレンズを内蔵させた300万画素デジタルカメラ。そのボディスタイリングは、曰く言い難い、奇を衒ったといいましょうか、ちょっと泥臭い雰囲気も漂わせておりまして、しかしこれが関西、大阪のセンスだと思われては、関西人のぼくとしては、それは違う、と。これはコニカミノルタとなる前のミノルタの、それも堺市のミノルタ技術センター内のデザイン部門だけの特異なセンスであると、思います。ミノルタはどうしてこうもデコラティブ過剰な、超アバンギャルドなスタイリングのカメラに仕上げるのか、いつも不思議でなりません。
でもしかし、その注目(冷ややかな視線)を浴びるようなボディスタイルとはうらはらに、中身はじつにマジメで ―― EVFファインダーと液晶モニターの表示を切り替えるメカニズムなんぞはコストダウンのためには“なりふり構わず”といった感じですが、ぼくは高く高く評価したい ―― そして意外なほど良く写るのです。もちろん、フラッグシップ機種のA1と違ってZ1はどちらかと言えば初心者向けにターゲットを絞った機種なのですが、その画質はハイエンドクラス並みのじつに上質な画像でした。少し露出アンダー気味の傾向はありましたが、オートホワイトバランスも安定しています。色調はこってり“濃いめ”ですがとてもナチュラルな印象を受けました。操作感もとても優れていました。
380mm相当の10倍ズームレンズ内蔵ですから、ぜひ手ブレ補正機能は欲しかった、とは思いました。しかし、あのA1に採用されているCCDシフト方式の手ブレ補正機構をこのZ1に入れることは、現段階ではとうてい不可能だったことも理解できます(価格的なことやなにやかやで)。Z1開発者たちの悔しさもよくわかります。ブレ補正はぜひ次機種に期待です。
2003年9月21日(日) 外観はナンなんだけど中身は凄いぞ
コニカミノルタ・DiMAGE Z1 Z1のAFは、いわゆる外光パッシブ方式とCCD測距方式(これをコニカミノルタでは映像AF方式と呼んでいる)の両方式を備えたハイブリッドAFであります。パッシブAFのセンサーは内蔵ストロボとレンズ鏡筒の間に設置されている。まず、このパッシブAFセンサーで測距を始めてレンズを駆動させる。だいたいのピント位置にレンズを動かしたあと、つぎにCCD-AFを使って正確にピント合わせをする。だから、多くのデジタルカメラがCCD測距だけで(苦労して)ピント合わせをしているのに対して、Z1は10倍ズームレンズを内蔵しているにもかかわらずとても高速で正確にピント合わせができるのはこのハイブリッドAFのおかげなわけです。
初心者向けの機種ではありますが撮影機能は贅沢三昧です。撮影モードはP/A/S/Mのほかシーンモードを備えている。シャッタースピードは1/1000秒から最長15秒まで連動するが、さらにタイム露光もできるんですよ。タイム露光はシャッターボタンを押すとシャッターが開いて露光が始まり、シャッターボタンから指を離しても露光状態がつづく。露光を終了するにはもう一度シャッターボタンを押せばよい ―― バルブ露光はシャッターボタンを押し続けていなければならない。ただしこのZ1の場合、タイム露光は最長が30秒までで自動的にシャッターが閉じてしまう。そのうえ、この30秒露光でもノイズリダクション機能がキチンとはたらく。
10コマ/秒という高速連写機能や、30fpsでVGAサイズの動画がメモリーカードいっぱいまで撮影できるし、音声記録をOFFにすれば撮影中にズーミングもできるなどといった“凄い”機能も備えておりますが、これら贅沢三昧の機能をメニューからささっと選んで設定するのが、いささか難渋するのが惜しい。それにつけても、くどいようでありまするが、加えて惜しいのはボディ外観の、人をおちょくったようなスタイリングなんだよなあ…。
2003年9月22日(月) フェラーリ特別モデルの真っ赤なμ−20 DIGITAL
オリンパス・E−1 + 50mmF2.0 Macro E−1用交換レンズとしてズーム2本、単焦点2本と×1.4倍のテレコンバージョンレンズが10月中旬に“同時発売”される予定なのだが、レンズ作りにちょっと手間取っているようで、先日、ようやくズイコー・デジタル ED50mmF2.0のMacroレンズを借りることができました。マクロレンズはAFでピント合わせして使用することはぼくはあまりせず、MFに切り替えることが多い。しかしE−1のふにゃふにゃすかすかのフォーカシングリングの回転操作感にはどうにもこうにも慣れることができず、苦労しながらAFで撮影をせざるを得ない。なお、50mmマクロはE−1と組み合わせると100mm相当の望遠マクロレンズとなります。
オリンパスは今年からF1フェラーリ・チームのスポンサーのひとつに加わっております。というわけで、μ−20デジタルをベースにした特別限定版を発売することにしたのですが、全世界で1万台、そのうち日本国内の“割り当て”はたったの1千台で10月10日から申し込みを受け付け、早い者勝ちではなく1千人を超えると抽選!となる。フェラーリとの契約 (いろいろ難しいことを言いますからねフェラーリは) で生産台数やボディスタイリングはかなり厳しく制限や要求をされたようです。
ボディ価格は8万円。ぼくはこの8万円は“とっても安い”と思います。などと言うと、お前はアホか、と思われそうですが、いいえ、ぼくは買うつもりなどありませんけど ―― でも欲しい、なあ ―― ぼくの知り合いのフェラーリフリークなどは、もう、いま舞い上がっております。
ボディカラーは真っ赤なフェラーリレッドに仕上げられていて、なにより感心したのはレンズ鏡筒も、ボディ背面の操作ボタン類までキチンと真っ赤にカラーリングされておりまして、カラーバリエーションモデルを作るんならここまで徹底して作って欲しいと思った次第です。スライドバリアについたスクーデリア・フェラーリ・キャバリーノ・ランパンテは立体エンブレムだそうです。いい…なあ。
2003年9月23日(火)
2003年9月24日(水) いろいろ考えさせられるカメラです
キヤノン・IXY DIGITAL L キヤノンとしてはいままでにはなかった思い切ったコンセプトで開発された新しいIXY DIGITAL。大胆に言えば、「撮る」というよりもむしろ「持つ」ことにウエイトを置いたカメラらしくないカメラ(と、ぼくは感じました)で、だから外観のスタイリングにはとても“カネと手間”がかかっております。もちろん、キヤノンのカメラでありますから「写り」については手を抜いているところはまったくありませんし、撮影機能的にも文句もありません。明快なコンセプトのもとに、あれこれ計算し尽くされて作った完成度の高いカメラです。きっと、まったく新しいデジタルカメラユーザーをたくさん獲得することでしょう。
ただし、IXY DIGITALにしてIXY DIGITALにあらず、という印象をぼくは強く受けました。どうもウマく説明ができないのですが、このカメラ一台であれこれ撮影をしようとすると少しストレスが溜まってきます。その理由はどうも単焦点レンズにあるようです。このIXY Lが備えている充実した撮影機能と単焦点レンズの不釣り合いをぼくは感じてしまうのです。使っていて「2倍でもイイから」ズームレンズが欲しいと思いました。
でもそれは、ぼくのようなデジタルカメラおたく(少し、ね)がこのカメラに対して感じることであって、デジタルカメラ未体験の多くの若い人たちにとってはズーム内蔵であろうが単焦点レンズぽっきりであろうが、そんなことカンケイないでしょう。小さくて軽くてスタイリッシュで400万画素だし…。既存の「カメラ」の概念が少しづつ変貌していく時代になってきました。
2003年9月25日(木)
2003年9月26日(金) IXY L 専用ケースには FURLA 製もあります
キヤノン・IXY DIGITAL L このIXY Lは3センチまで近づいて超クローズアップ撮影ができるモードを備えていたり ―― 通常の撮影モードでは無限遠距離から至近10センチまでシームレスにピント合わせが可能 ―― 、タイムラグをほとんど感じることなくイッキ押しでシャッターが切れるクイック撮影機能を備えていたり ―― どんな仕組みになっているのかイマイチよくわからん ―― してなかなか使いやすいカメラなんでありますが、いっぽうで、このような“初心者向け”カメラに、はたしてこんな立派な機能 ―― たとえば評価測光や中央部重点測光、スポット測光の切り替えなど ―― が必要なのかなあ、と首を傾げるようなところもなきにしもあらずでした(でもまあ、カメラが重くなるわけでもないからナイよりアッタほうがいいとは思うけど)。
IXY Lには1/2.5インチ型の400万画素CCDを使用しているのですが、ぼくはこのCCDにとてもとてもとても興味がありました。いったいどこのCCDだろうか、といぶかしく思っていたのですが、ある人にそれとなく聞いてみて、ほほーっ、と大いに驚きました(もしそれが事実なら)。
ま、そんなオタクっぽい話はどーでもイイのですが、さて、このLには専用の高級革ケースも用意されておるんです。ぼくはいわゆるブランドもの情報には疎いんですが、FURLA というメーカーがIXY Lのために作ったものだそうで、4色のカラーバリエーションがあります。先日、そのケースを(スゴイだろう、とキヤノンの人に)見せてもらったのですが FURLA の価値のほどがわからないオジサンにとっては、ふーんっ、といった程度の印象しかありませんでした。ちっちゃな、どーってことない革ケースが、それが一万三千円もするんですって( FURLA に対して失礼ですが )。
2003年9月27日(土)
2003年9月28日(日)
2003年9月29日(月) まるで、いけいけどんどん、かのようなキヤノン
キヤノン・PowerShot A80 立て続けにデジタルカメラ新製品を出してくるキヤノンです。レンズ交換一眼の Kiss Digital、小型スタイリッシュな IXY DIGITAL L、そしてこの PowerShot A80 であります。コンパクトデジタルカメラだけでも現行機種として9機種もあります。IXY L も A80 も400万画素機種ですが、L のほうは新タイプの1/2.5インチ型CCD。これに対して A80 はお馴染みの1/1.8インチ型CCDです。現行の PowerShot A70 は1/2.7インチ型CCD(300万画素)だけど、この A80 の1/1.8インチ型CCDは、IXY DIGITAL 400、PowerShot G3(4倍ズーム内蔵、既にディスコン)のそれと同じもの。
一般的にですけど、新規にレンズを設計して作るのはかなりコストがかかるものです。デジタルカメラのようにつぎつぎと新製品に切り替えて発売せざるを得ないような商品では、各メーカーとも、できるならばレンズは旧型のものをそのまま流用して少しでもコストを抑えて新製品を出したいと願っていて、それがかなうように大変苦労をして新製品の企画をしています。
だから、たとえば現行の300万画素から新製品は400万画素にグレードアップするときも、可能な限り同じサイズのCCDを使用するようにします。CCDサイズが同じならレンズがカンタンに流用できますから。
でも、この A80 の内蔵3倍ズームレンズは ―― CCDサイズが違うからとうぜん A70 の3倍ズームとは違ってくる ―― 1/1.8インチ型とはいえ IXY 400 とも G3 とも異なる、まったく新規に開発した小型ズームレンズなんです。こうしたキャノンの、なんといいましょうか、このパワフルさには、ほとほと脱帽させられます。
2003年9月30日(火) 液晶モニターが小さいのが残念でした
キヤノン・PowerShot A80 PowerShot A80 は A70 の“後継機種”と思われがちだがそうではなくて“上位機種”になるようだ。だからズームレンズ内蔵のAシリーズは、200万画素の A60、300万画素の A70、そして400万画素の A80 とラインナップを揃えたわけです。500万画素で4倍ズーム内蔵の G5 があるのだが、4倍ズーム内蔵で400万画素と300万画素機種がない。で、次はSシリーズかAシリーズで、4倍ズーム内蔵の400万画素機種が出てきそうな気がしないでもありません。
A80 と A70 と「どっちを選ぶか」と問われれば、うーむっ、としばし考えた末に、ぼくは A70 をとります。A80 を A70 と手にして並べ比べてみると、どうしても大きさと重さが A80 のほうが上回っているのと、ズームレバーのカタチや、そして操作部の配置などのデザインがどうもしっくりこないのであります。性能的に見ると A80 が A70 より劣っているというわけではなく、むしろ優れた点はたくさんあるし画質も A80 のほうがイイようにも感じます。
でも、カメラはバランスですから(いろんな意味で)、A80 のその総合的なバランスがちょっと気になっているわけです。もし A80 にもっと大きな液晶モニターが内蔵されているとか手ブレ補正機能があるとかならば、もう文句なしに A80 だったわけです。バリアングルモニターでなくてもイイからせめて1.8インチ型ぐらいの大きな液晶モニターが欲しかった。