Photo of the Day

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2003年8月1日(金) スーパーCCDハニカムHRのRAWファイル

フジ・FinePix S5000
このS5000は多彩な撮影モードやハイエンドクラスの機種に入っているような撮影機能も備えています。たとえば、フジのコンパクトデジタルカメラとしては「初」のRAWデータ記録モードがある ―― ホントウの「初」はスーパーCCDハニカムSRを使用するF700がそれになるはずだったのだが、そのF700は遅れに遅れて、いま、フジのロードマップがごちゃごちゃになっておるんです。と、ハナシが少し横にそれましたが、RAW記録モードを備えていても、S5000は間違いなく若い気楽なお父さん向けの、よくできた機種でありますから、画質がどうのこうのと難しいことを言う人が「RAWで撮影してS5000を使いこなしてやるッ」と意気込んでも、スベってコロブだけです。




そこで、まあ、ぼくもスーパーCCDハニカムHRのRAWファイルは、どんなもんかな、と興味津々でありましたからさっそく試してみました。
ところで、RAWファイルとはカメラの中で画像処理 (現像処理) される前の「生データファイル」です。未現像フィルムのようなものです。このRAWファイルは“潜像”ですからパソコンと専用の現像処理ソフトを使ってJPEGやTIFFファイルなどの“顕像”に変換する処理をおこなう必要があります。そうしてようやく見ること鑑賞することができる。チトめんどうな撮影記録方式ですが、メリットは自分の眼と手で思う存分納得するまで画像処理ができること、かな。たとえその処理がウマくいかなくても、ふつーに撮影したJPEGファイルの画質よりも結果的に悪くても「笑ってごまかせ自分の失敗、激しく罵れ他人の失敗」とも言いますからそれはそれでイイんです、とは言い過ぎか…。
というわけで、RAWファイル (非圧縮) のサイズは約8.6MBで、S5000に添付されている FinePixViewer を使ってTIFFファイルに変換すると、2816×2120ピクセルの、ざっと17MBぐらいのファイルになっただけで、ここからが肝心ですが、JEPGファイルと画質は同じでした。

2003年8月2日(土) なんのためのRAW記録撮影モードなんだろうか

フジ・FinePix S5000
S5000は現行モデルの、324万画素6倍ズーム内蔵のS304の後継機種です。S304もS5000もCCDサイズは同じ1/2.7インチ型なのだけど、S304はソニー製の (おそらく) ごく普通のCCDを使っているのに対してS5000は第四世代のスーパーCCDハニカムHR。で、S5000ではスーパーCCDハニカムの特徴を生かしてISO200から最大ISO800までの高感度で (つまり高速シャッタースピードで) 撮影できることをウリにしています。ちなみにS304の感度設定はISO100の固定です。




S5000にはRAW記録モードが備わっていて、そのファイルを現像するには添付ソフトの FinePixViewer を使用すると昨日述べました。正しく言うなら FinePixViewer と連携して動く RAW File Converter LE を使って現像するわけです。ただし、このRAW File Converter LE はこれ単独で作動させることはできず、さらには通常、どのRAW現像ソフトでも当たり前のようにおこなえる、ホワイトバランスや保存画像形式、サイズ、カラーバランス、露出補正などのパラメーター設定モードが“まったく”ありません。S5000のRAWファイルをただ最大記録サイズのTIFFファイルに自動変換するだけで、こうした意味で言えば、せっかくS5000でRAW記録撮影してもほとんど意味がありませんね。ま、S5000ユーザーでRAW記録撮影する人なんて皆無でしょうけれど。
RAWファイルをあれこれパラメーターを駆使して現像処理をする方法はなくもないのですが、それは別売のRAW File Converter EX が必要となります。しかし、いまのところまだそれはS5000のRAWファイルに対応しておりません (発売時には対応予定だそうですが)。

2003年8月3日(日) 

2003年8月4日(月) 

2003年8月5日(火) レンズ選びの難しさ

キヤノン・EOS 10D + タムロン28〜75mmF2.8
文字通りコストパフォーマンスのとても高い大口径ズームレンズ。ちょっと大げさな言い方になるが、いままでのレンズ設計の常識を打ち破る画期的なレンズと言ってもいいかも知れない。35mm判フルサイズのカメラと組み合わせるならこの焦点域でまったく不満はないのだけれど、実画面サイズの小さなデジタル一眼カメラでは広角側で少し物足りなさを感じるかも知れない。欲深いぼくなどは、もしこれが、この大きさのまま、この低価格のまま24〜75mmF2.8だったらどんなに素晴らしかっただろうか、とついメチャなことを考えてしまう。




レンズは外観を見ただけではその写りの性能はわからない。手にしてカメラにセットしてファインダーを覗いたとしても五十歩百歩でして、実際に撮影してその写り具合をチェックしないことにはナンとも言えない。購入前にレンズのテスト撮影ができれば納得して安心して、このレンズちょうだいっ、と言えるのだろうけれど、カメラ店のいまの販売システムではそうはいかない (もし仮にできるとしても描写力をチェックできる“眼力”がないことにはどうしようもないのだけれど、ね)。そのレンズの写り具合の良さを信じて、思い切ってエイヤッと購入せざるを得ないのが、レンズ選びのもっとも難しい点であります。失敗のないレンズ選びの、これだというグッドアイディアがないのが ―― ないこともないのだけれど、いろいろ差し障りもあるのでここでは詳しく述べませんが ―― もどかしい限りであります。

2003年8月6日(水) 

2003年8月7日(木) シグマSD9のアフターフォロー

シグマ・SIGMA SD9 + 50mmF2.8 マクロ
SD9は画期的な画像センサー (Foveon X3) を使用したレンズ交換式デジタル一眼カメラで、昨年10月に発売されてもうそろそろ一年になろうとする。このフォビオンX3センサーはSD9に初めて採用されたわけだが、その後、他のメーカーや機種にも使用されるのではないかと期待されたがいまだにSD9以外の機種に採用されたという話は聞かないしそうした噂もない。SD9そのもののファームウエアのバージョンアップも (大幅なものは) ないし、ただ数ヶ月前にRAWファイル現像ソフト (SIGMA Photo Pro ―― よくできている) の、ごくごくマイナーなバージョンアップがあっただけ。SD9ユーザーとしてはいささか淋しい気もしないでもない。




SD9はRAWデータでしか画像が記録できないカメラなので、撮影した画像を印刷するなりパソコンのディスプレイで鑑賞しようとすると、必ず専用のRAWファイル処理ソフトを使ってパソコンで“現像”しなければならない。RAWファイルを現像するときに色調をコントロールするパラメーターを調整して現像すればある程度は好みの色合いに仕上げることはできるが、SD9の基本的な色調傾向はハデ、です。ぼくの印象では、フジのリバーサルフィルムのベルビア、それも旧タイプのベルビアの色調に似ているなあと感じることがよくあります。
このハデな色調はそれはそれでイイと思うのだけれど (ぼくは好きです) 、しかしどうもフォビオンX3センサーのクセのようなものだろうか、ちょいちょい、おやっ、と思わせるような大胆な“偽色 ―― ありうべからざる色 ―― のようなもの”が出て困ってしまうことがある。これなんぞは、カメラ本体のファームウエアのバージョンアップかなにかで、出ないように、あるいは目立たないようにできるような気もするんだけど、なあ。

2003年8月8日(金) シグマSD9の次機種にひとつお願いごと

シグマ・SIGMA SD9 + 50mmF2.8 マクロ
シグマのデジタル一眼カメラ (SD9) に Foveon X3 を搭載すると正式に発表されたのはおととしのPMAカメラショーでした。PMA会場のシグマブースに試作モデルのSD9が展示してあって、ぼくもそこで初めて見せてもらい説明も聞いた。「撮影画像はRAWデータでしか記録できない」と聞いて「ええーっ、どうして、なぜJPEGで記録できないの?」としつこく詰め寄った覚えがあります。いま、そのときのメモがないので曖昧な記憶ですが「Foveonセンサーの仕様でJPEG記録は無理…」とシグマが応えたんですよ。




ところが、シグマブースから少し離れた場所にフォビオンも (このセンサーは大変に注目を集めていましたから) 小さいブースを出していて、いろんなカメラメーカーにFoveonの搭載をしてもらおうと売り込みに一生懸命でした。そのブースに行って、技術担当の役員にFoveonセンサーについてあれこれインタビューもしました。そのとき、それとなく「シグマではJPEG記録は“できない”と言ってるけど…」という話になったとき「いいや、できる。シグマがやらなくてもよい、と言ったのだ」とその役員はじつにストレートに応えたのです。
PMA発表から半年以上してようやく製品化されて発売されたわけですが、その後、あちこちでいろんな人にFoveonセンサーのことやSD9のことを聞いてみると、やはりJPEG記録は不可能ではないらしい。というわけで、もしシグマが次機種をFoveonセンサーでやるなら、ぜひ、JPEGファイルでも記録できるようなカメラに仕上げてちょうだいね。

2003年8月9日(土) そんな悲しそうな顔するなよ

シグマ・SIGMA SD9 + 50mmF2.8 マクロ
SD9のボディ・レンズマウントは、シグマ独自のバヨネット式のSAマウント。シグマはレンズ専門メーカーでもあるので、SAマウントレンズは超広角から超望遠、ズームやテレコンまで含めれば40本近くがラインナップされている (言うまでもありませんが、シグマにはSA9、SA7というレッキとした35mm判のAF一眼レフカメラもある) 。さらに、じつはこのSAマウントのバヨネットマウント部は、ペンタックスのKマウントと同じ (リコーの一眼レフも同じ) なのであります。しかし残念なことに、Kマウントの絞り連動ピンが邪魔をして、ペンタックスやリコーのKマウントレンズをシグマ・SD9に取り付けることはできない。




でも、このKマウントのおもしろいところはマウント変換アダプターを使うことでスクリューマウントレンズが装着できることなのです。スクリューマウント ―― Sマウント、M42マウント、プラクチカマウントなどとも呼ばれている ―― は、かってペンタックスやフジカなど国内のたくさんのメーカーや、海外では旧東ドイツのコンタックス、旧西ドイツのツアイス、旧ソ連のゼニットなどが、このマウントのレンズをたくさん作っていました。
ということは、古い個性的なレンズがマウント変換アダプターを介することで最新型のデジタル一眼レフSD9にセットして使えるのです。ただし、フランジバックの長さが微妙に違うためスクリューマウントレンズをSD9に取り付けると、無限遠がレンズの指標よりも手前でピントが合ってしまいますし、マニュアル操作でピント合わせや露出値を決めたりしなければならず、ちょっとそのへんの使いこなしに注意する必要はあります (ぼくはじっさいにやったことがありませんので不正確ですが) 。

2003年8月10日(日) 

2003年8月11日(月) 

2003年8月12日(火) そんな怖い顔して怒るなよ

パナソニック・DMC-FZ2
FZ2は200万画素、手ブレ補正機能つき12倍高倍率ズームレンズ内蔵の、FZ1のバージョンアップ機種です。CCDや内蔵ズームレンズなど基本的な性能にはほとんど同じ。撮影モードに、プログラムAEモードのほかにあらたに絞り優先AEとシャッタースピード優先AEが搭載されたこと、ホワイトバランスの微調整ができるようになった。しかし、絞り優先AEとシャッタースピード優先AEのモードが加わって、さらにそのモードでの使い勝手が“かなり”向上して ―― スペック表を読むだけではゼッタイにわからぬ機能アップがある ―― 一段と使いやすくなりました。いままで、「コンパクトデジタルカメラの撮影はプログラムAEに限る」と言い切っていたぼくですが、このFZ2にかんしては、積極的に絞り優先AEかシャッタースピード優先AEのモードを使用するようになりました。




関東地方は8月になってようやく梅雨があけたとはいえ、不安定な、とんと夏らしくない日も続きます。でも、やはり8月ですから、青空が見えてかーっと暑い夏らしい日もあります。その夏空に、カメラを数台手にして散歩です。暑いけれど気持ちがいい、と思っているのはぼくのような天の邪鬼だけか。
日蔭でぐったりしていたこの猫など、もぉーうっ、暑くて暑くてやってらんないっ、とすこぶる機嫌が悪い。望遠ズームで遠くからカメラを向けただけで、フーッ、ッるせーなぁ、と怒り出す始末。まあまあ、そんなに怒らなくてもいいじゃあないか…とかなんとか言いながら近づいてアップを撮ろうとすると、歯を剥いていまにも飛びかからんほどの怒りようで、すまんすまん、と言いながらぼくはそうそうに退散しました。

2003年8月13日(水) FZ2でよくなったこと、あれこれ

パナソニック・DMC-FZ2
旧FZ1の撮影モードはハートマークの完全おまかせ自動撮影モードとプログラムAEモード、そして5種類のシーンモードがあって、それぞれをボディ上部にあるモードダイヤルで選ぶ。旧FZ1のプログラムAEモードではシャッタースピードが1/8秒までしか露出連動せず、しかしそれでもシャッターが切れてしまうから露出アンダーになってしまうことがたびたびあった。低輝度被写体を適正露出で撮影しようとするとシーンモードのなかの夜景モードを選ぶしか方法はなかった(これなら最長8秒まで連動する)。ところがこの夜景モードでは、AFの測距連動範囲にちょっとヘンな規制をかけていて満足に使うこともできない。




ところが、新FZ2にあらたに加わった絞り優先AEとシャッタースピード優先AEでは1/8秒の“足かせ”が取り払われて、絞り優先AEでは最長1秒まで、シャッタースピード優先AEでは最長8秒まで露出オート連動させて撮影ができるようになった(絞り値の連動はF2.8からF8まで)。だから、最長1秒まで連動してくれる絞り優先AEを選んでおけば、少しぐらい暗い被写体でも露出アンダーになることなくキチンと写せるようになったというわけです。
さらに、絞り優先AEまたはシャッタースピード優先AEモードに設定しておけば、自動的にマクロ撮影も可能になって、至近距離から無限遠までシームレスでピント合わせができるようになった。旧FZ1では1/8秒以下でマクロ撮影をすることは金輪際できなかったのだが、新FZ2になって1/8秒以下でも自在に近接撮影も可能になったのであります。FZ1では使っていてなにかとストレスが溜まることも多々ありましたが、FZ2になって肩の凝りがおおいにやわらぎました。

2003年8月14日(木) 

2003年8月15日(金) 200万画素というのも、いまや、ちょっと…

パナソニック・DMC-FZ2
絞り優先AEとシャッタースピード優先AEを選ぶことで、かなり暗い被写体でも露出アンダーになることなく撮影ができるようになったのはイイことなのだけれど、しかし、そうした暗い被写体にカメラを向けると液晶モニター画面もEVFファインダーも暗くなったままで、まともにフレーミングもなにもできない。せめてシャッターボタンを半押しすると画面を明るくゲインアップさせるような仕組みを入れておいて欲しかったなあ。ことほど左様に、FZ2はかなり急場しのぎのFZ1小規模改良版という気がしないでもありません。きっと秋に発表されるであろう上位機種に乞うご期待ですね。




突然、かーっと暑くなったり、かと思えばまるで秋のような冷たい雨が降り続くヘンな8月ですが、やはり夏はビールがうまい。冷えた生ビールが飲みたいがために、わざわざ暑い日中に撮影にかこつけて外に出る。吹き出す汗を拭きながらヤルこのいっぱいがたまりません。じつにノーテンキな気分になれるひとときです。
この日はデジタルカメラ2台と、修理から戻ってきたばかりのレチナ3cを持って3時間ばかり歩き回りました。シュナイダー・クセノン50mmF2のこのレンズは、やはりイイですなあ。とくにぼくのレンズは大当たりでした。フィルムは先ほど大幅モデルチェンジされたNewベルビアで、そうそう、新しいベルビアには「ベルビア100」と「ベルビア100F」の2種類あるのですが、ぼくは文句なしに色調がかなり大人っぽくなって色のニュートラリティーも安定しているベルビア100Fのほうが好みです。

2003年8月16日(土) 

2003年8月17日(日) 初の Four Thirds System のデジタルカメラ

オリンパス・E−1 + ズイコー14〜54mmF2.8〜3.5
ようやく秋に発売されることになった、あのフォーサーズシステム初の、そしてオリンパス初のレンズ交換式一眼レフカメラであります。そのボディのスタイリングや操作性はレンズ内蔵固定式デジタル一眼レフであるE-10やE-20とそっくりで、さて、はたしてそこまで似せる必要があったのだろうかと疑問に思いました。使い勝手についてはいくつか首を傾げざるを得ないところもありますが、その画質についてはぼくは高く評価をします。高ISO感度や長秒時撮影でノイズは目立ちますけれど、階調描写力はあって、銀塩フィルム写真の描写に似たE−1のアナログ的画質は、ぼくは大好きです。ただしベータ版の機種での話ですけど。




オリンパスが提唱したフォーサーズシステムにコダックと富士フイルムが“賛同”して、昨年ですけど「ユニバーサル・デジタル・インターチェンジャブル・レンズシステム・フォーラム」を結成したのですが、いまのところ、コダックからも富士フイルムからもフォーサーズシステムのカメラが出るような気配も、他のメーカーが賛同する様子はありません (いや、ぼくが知らないだけ、か) 。
発表されたE−1も ―― ま、新しいシステムが発表されたばかりですから仕方はありませんが、そのレンズラインナップがちょいと淋しいです。標準ズームと望遠ズームが2本と、50mmマクロと300mmF2.8の単焦点が2本のみで、広角ズームは「今年中には発売したい…」とのことで、これじゃあ、E−1を買ってすぐに仕事をこなすというのも難しいです、よね。

2003年8月18日(月) 

2003年8月19日(火) E−1の画像はなかなかイイと思いますよ

オリンパス・E−1 + ズイコー14〜54mmF2.8〜3.5
E−1はまだ発売までだいぶありますから、すべてのチューンアップ (と修正) を終えて製品版になったときその画質がどんなふうに仕上がるかまだまだわかりません。けれど、もしシャープネスやエッジ処理などがいまの状態とそう大差がなく、絵づくりの基本姿勢を大幅に変更しないのであれば、その画質はかなり期待ができると思います。ただし、初めてそのE−1の画像を見たときには、きっと「あれっ?」と思うかも知れません。




ふわりとした柔らかな描写具合で (でもこれが好きなんですよ、ぼくは) 、いままでわたしたちが見慣れたデジタルっぽいカリカリの画像とはちょっと (どころか大いに) 違うのです。でもその画像のラチチュードの広さと階調描写の具合には ―― とくにシャドー部側の描写再現力に ―― 感心することでしょう (いや、感心して貰わないことには、こんなに大口を叩いているぼくの立場がなくなります…ジョーダンです) 。
解像力はそりゃあ1000万画素に比べると劣るのは仕方がない。また、ノイズについては、少ないに越したことはありませんが、でも無理をしてノイズレスの画像にしようとして、その結果がいかにものデジタル的ノッペリ画像になるんだったら、少しぐらいノイズが残っていてもぼくはヘイキです、あんまり気にしません。

2003年8月20日(水) 

2003年8月21日(木) ペンタックス悲願の小型軽量デジタル一眼

ペンタックス・*ist D + FA-J 18〜35mmF4〜5.6 AL
*ist D (イスト・ディ、と読みます) はペンタックスの ―― あれこれ紆余曲折ののちの ―― 初のレンズ交換式デジタル一眼レフカメラです。ペンタックス悲願のカメラでもありました。特徴は、ひとつは“世界最小最軽量”のレンズ交換式デジタル一眼であること (ホント小さい) 、もうひとつは従来のペンタックスの35mm判から645判、67判カメラ用レンズ (Kマウント) の「すべて」が「取り付けることが可能」で、そして「撮影する」こともできるということでしょうか (いろいろ制限があるんですけど) 。撮像素子は、APS-Cサイズの610万画素CCDで、これはニコン・D100に使用されているものと同じソニー製です (と思います) 。




ボディをここまで小さく仕上げるにはあれこれタイヘンだったようです。そのへんの苦労話は、ちょっと大袈裟ですが涙なくしては聞けません。でも、ハタから見ていると、なぜそこまでムキにまでなって小さなカメラを作らなきゃならんのかとも思いますが、小さいカメラがペンタックスのアイデンティティなんだかからしょうがない、か。ぼくなんぞは、じつにイイカゲンでオオザッパな性格ですから、もうふたまわりぐらい大きくてもいっこうにかまわんのですけど。
というわけでここ数日、この小さく軽いデジタル一眼を持ち歩いていたのですが ―― 小さくしたことであれこれ弊害もありましたけど (メディアの取り出しに難渋しました) 、でもやっぱり、小さい軽い一眼デジタルは気楽でイイでした (そのあと持ったEOS-1Dの重さと大きさに“感動”しましたけど) 。なお、*ist Dのレンズ互換性などについては、来月発売のカメラ雑誌などに詳しく説明しておきますからソレを読んでくださいね。

2003年8月22日(金) ぼくの書いた雑誌記事の訂正です

ペンタックス・*ist D + FA 24〜90mmF3.5〜4.5
ところで、いま発売されている「月刊カメラマン」誌にこの*ist Dの新製品解説記事をぼくが書いておるのですが、その中で「Mレンズは機構上の制約があって使用不可能」てなことの記述がありますが、ソレを少し訂正しておきます。まったく使えないかと言えばそうではなく、かなりめんどうなことをしなければいけませんが、なんとか使おうと思えば使えなくもありません。




じつはその原稿を書いた時点では、ペンタックスからの概略説明を受けただけで、もちろん撮影することもできませんでしたし、確かめようもなかったのです。まだ仕様がはっきりと固まっていない状態だったからでしょうね、Mレンズについては「*ist Dに取り付けてもシャッターが切れないようにしている」と、そのとき説明を受けていたのです。ところが、いま、手にしている機種 (まだベータ版) では、シャッター“だけ”は切れるようになっておりました。
ただし撮影はマニュアル露出のみ、それも単体露出計を使って露出を測り、*ist DとMレンズのシャッタースピードと絞り値を適正な値にセットする完全マニュアル露出となります。でも使えないより、なんとか使えるようになっただけでもヨカッタと思います。記事を読んでいただいた一部のペンタックスファンの人たちには、心配させ、お騒がせをいたしました。

2003年8月23日(土) デジタルカメラとのレンズの相性

ペンタックス・*ist D + FA 50mmF1.4
昨日の続き少し。*ist Dは「Kマウント」のレンズであれば (レンズ後端部がボディにぶつからなければ)“取り付ける”ことは可能ですが、撮影をするにはあれこれ制限があります。かなりめんどうな使い方をする必要がありますので、それを「使える」とカンタンに言ってしまうにはいささか無理があります。むろん、理想を言えば、いままで発売してきたペンタックスのレンズはすべて、カメラが新型になっても支障なく (多少の使い勝手は悪くても) 使えるのがベストなのでしょうけれど、カメラ設計者にとってはきわめて過酷な要望でしょう。でもそうした“希望”はつねにメーカーに対して言い続けていることは大事です。




*ist Dにはレンズマウントでメカ的にあれこれ制限があるいっぽうで、最新型のFAマウントレンズの中にも描写上で相性のあまりよくないレンズもあるようです。ぼくもの手持ちのペンタックスレンズのすべてを試したわけではないのではっきりしたことは言えませんが、ひとつFA50mmF1.4レンズが、開放絞り値で撮影をすると球面収差が際だって目立ちました (フィルムではソンなことはなかったのですが)。まるでソフトフォーカスレンズで撮影したようにきれいで柔らかな雰囲気の (モノも言いようだ) 描写になりました。1〜2段絞り込むとそのソフト効果は消えますが、50mmF1.4で開放絞り値にして*ist Dでかりかりシャープな描写を望んでもそれは無理のようです。ほかにも、これに似たようなデジタルとは相性の良くないレンズもあるかも知れません (じつはニコンやキヤノンにも同じような傾向はあるのですがペンタックスほど目立たないだけのようです)。

2003年8月24日(日) 

2003年8月25日(月) HyPとHyMの復活

ペンタックス・*ist D + FA 135mmF2.8
*ist Dで、ペンタックスのカメラにひさびさにHyP (ハイバープログラム) と HyM (ハイバーマニュアル) の操作機能が復活しました。ぼくはもうこれだけで、Mレンズが使いにくいことやメディアが出しにくいことなど、*ist Dの不満のあれこれは許してしまいます。HyPとHyMはZ-1で初めて採用された画期的なカメラ操作方法なのです。文句なしのすばらしい撮影機能です。




HyPはプログラムAEモードにセットしておくだけで、ダイヤル操作のみで絞り優先AEにもシャッタースピード優先AEにも瞬時に切り替えて撮影することができるというものです。ですから、ほんとうならHyP機能を備えたカメラなら絞り優先AEもシャッタースピード優先AEのモードも“必要ない”はずなのです。
HyMは、マニュアル露出モードに切り替えて被写体にカメラを向けて、ボディ上部のグリーンボタン(Z-1ではハイバーボタン)をワンプッシュするだけで瞬間的に適正露出値に絞り値とシャッタースピード値がセットされるというものです。さらに、この適正露出値状態でAEロックをしたままコマンドダイヤルを操作すると、適正露出値を保持したままシャッタースピードと絞り値の組み合わせを変える(シフトする)ことも出来ます。AEモードとMモードをときどき切り替えて撮影をするような人にはじつに便利な操作機能なのです。

2003年8月26日(火) 

2003年8月27日(水) ソフトフォーカスレンズのピント合わせ

ペンタックス・*ist D + FA 85mmF2.8 ソフト
他のカメラを使っての撮影の合間を縫って、*ist Dでもあれこれ撮影をしているけれどまだ1000カットぐらい。受け取ったときに入っていた電池はCR-V3が2個。その約1000カットの中には30秒近くの長時間露光撮影を何カットもやっております。初めての機種ですからメニュー画面をチェックするために長時間、液晶画面をONにしっぱなしのこともありました。自分で入れたわけでないのでCR-V3が新品かどうかわからないのだが、それでも電池残量マークはいまフルのままで、予想していた以上の省電化がなされておるようです。電池がなくなるまで撮影を続けてみるつもりです。




ペンタックスのAF対応のソフトフォーカスレンズには85mmF2.8と、28mmF2.8の2本があります。85mmソフトと違って、28mmソフトのほうはどうも“キワものっぽい”感じがして(表現がキツくてすまんです)ぼくはあまり好感を持っていません。ソフトフォーカスレンズには絞り値を変えるとソフト量が変化するレンズと、絞り値には関わりなく(厳密に言えばちょっと違うんですけど)独立したソフト量調節機構を備えたレンズがあります。ペンタックスのソフトレンズはMFレンズのころから、絞り値でソフト量を可変するタイプです。ツウに言わせると、この方式のほうがソフト描写がキレイなんだそうです。
ソフトフォーカスレンズはMFではピント合わせが大変に難しいとされていましたが ―― ファインダーでピント合わせしたあとにわずかにピント補正をしなければならない ―― AF化されてからそうしたピント補正(誰でもがカンタンにできるものではない、じつに難しい)をする必要がなくなりとっても使いやすくなりました。

2003年8月28日(木) 

2003年8月29日(金) 

2003年8月30日(土) 

2003年8月31日(日) フィルム版Kissとはだいぶ違うなあ、デジタル版Kissは

キヤノン・EOS Kiss Digital + EF-S 18〜55mmF3.5〜5.6 USM
Kiss Digitalの発表は、ぼくはてっきり来年、2004年春ごろだと予想していました。ところが半年以上も、その予想よりも発表が早くなって少しビックリでした。正直言いますとぼくはKiss Digitalは、次のようなカメラになると踏んでおったのです。つまり、もちろん10万円以下、撮像素子サイズはAPS-Cサイズよりも小さなフォーサーズシステムとは関係ないがそれに近い(4/3インチ型程度の)大きさのCMOSセンサー、500万画素、マウントはEFマウントではなくまったく新しいKiss Digitalシリーズ専用のマウント、専用レンズはとりあえず5本を同時発表、てなとこでした。




しかし、フタを開けてみれば ―― 部分的にはぼくの予想が当たらずも遠からずでしたが ―― ま、結果的にオオハズレでありました。もっとも意外だったのは、搭載している撮像素子が上級機種のEOS 10Dと“まったく同じ”であったこと。少し使ってみて、これじゃ10Dといったいどこが違うんだい、と思ったほどでした。Kiss Digitalで撮影した画像は、10Dの画質に比べてなんら遜色はなくむしろノイズなどにかんしては、Kiss Digitalのほうがいいんじゃないかと思わせるほどでありました。
もちろん、10DとKiss Digitalとの「差」ははっきりとさせておかなくてはなりませんから(併売ですから)、でもその「差」をつけるためにカメラ開発担当者のひとたちが苦労しまくったその様子が、Kiss Digitalにはあちこちに見え隠れしています。その苦労の甲斐があってか、10DとKiss Digitalにはきちんとした「差」が出ていますから、発表前にうかつにも10Dを買ってしまった人はけっして落ち込むことなんぞありません。Kiss Digitalは確かに良くできた画期的なデジタルカメラではありますが、10Dのほうがずっとずっとデキのよいカメラです。

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