Photo of the Day
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2003年3月1日(土)
2003年3月2日(日) コンパクトデジタルカメラの画質には (ほぼ) 満足、満足
ソニー・Cyber-Shot DSC-P8新型P8になって付属のインフォリチューム電池の容量も少しアップした。旧型は2.4Whだったが (NP-FC10) 、新リチュウムイオンバッテリー (NC-FC11) は2.8Whとなった。ま、少しでも容量アップされたのはいいけれど、それよりもぼくはソニーのデジタルカメラを使っていていつも、うんこれは感心、と思うのは電池の残り容量が時間表示 (分刻み) で表示されることだ。撮影をしていて電池の残量にはらはらどきどきすることがなく精神衛生上とてもよろしいなあ。
新型コンパクトデジタルカメラをあれこれ使っておりますが、どれもこれも画質についてはほぼ文句のないレベルに達しておると思います。画質はどの機種もドングリの背比べ状態です(いい意味で)。もちろん重箱の隅をつつくような見方をすれば、この機種はノイズが目立つの、あの機種はホワイトバランスが不安定だの、その機種はシャドー部の階調描写力に不満があるの、などなどイチャモンをつけられはするだろうけれど、だからといってそれがどうした、と考えるわけです。
そもそも300万画素や400万画素の簡単操作のコンパクトデジタルカメラなのに (いわんや200万画素をや) 画質だけについてだけ ―― そこしか見てないような人もいるんですよね ―― どうのこうのと欠点ばかりをほじくり出してもしょうがありまへんやないか、と。画質うんぬんを (本気で) 求めるなら一眼デジタルカメラにすべきでしょう。
2003年3月3日(月) コンタックスブランド初のコンパクトデジタルカメラ
京セラ・コンタックス Tvs DIGITALコンパクトデジタルカメラでは“初”のコンタックスブランドのデジタルカメラであります。内蔵レンズはカールツァイス・バリオゾナーT*の3倍ズームレンズで、ミソは「T*」マークがついていることです。「ティー・スター」と読みます。ツアイスレンズに詳しい人には釈迦に説法でしょうけれど、この「T*」こそは水戸黄門の印籠のようなものなのだ。ツアイスレンズとしてはレンズ性能に自信のあるものにしかこのマークをつけることを許しません (なんか大業な物言いだなあ) 。
で、コンタックス Tvs DIGITALのデジタルカメラとしての“仕上がり”と“写り”はさてどうか、なのですが、うーむっ…、といったところが正直な気持ちです。画質はいささか荒っぽい。カールツァイスレンズとフィルムとの組み合わせで得られるあの微妙なディテール描写力を出している画質と、Tvs のデジタル画像との差があまりにもありすぎるように感じました。T*レンズの味が十分に引き出されておらぬというのが第一印象でした。
こうしたコンパクトデジタルカメラの画質についてあれこれ難癖をつけたくはないのですが、しかしツアイスT*レンズを使ったコンタックスブランドのカメラとなると、どうしても画質優先で見てしまうではありませんか。京セラとしてはもう少し時間と手間をかけて絵づくりに励んでもらいたかったなあと少し残念に思っています。
2003年3月4日(火) コンタックス・カールツァイスT*のブランドを守ってね
京セラ・コンタックス Tvs DIGITAL黒のシマリを良くするためにハイブリッド赤外カットフィルター(波長の異なる2種類の赤外カットフィルター)を使用したり、液晶モニターには明るい戸外でもクリアーに見えるデュアルバックライト方式のTFTカラー液晶を採用したり、チタン合金製のツクリのよいボディ外装だったり、とか、コンタックス信奉者をグラっとさせる仕掛けを備えたカメラに仕上げてはいるんだけど、でも撮影画像を見てみると、世の中、そんなにアマチャンばかりではないぞ、と。
コンタックス Tvs DIGITALの画質についての苦言(つらいのだ、本心は)。京セラのカメラ開発や販売にたずさわっている人たちには幾人も知り合いがおります。みなさんとの付き合いも古いし、親しくもしてもらっている。でも、いやだからこそ、Tvs DIGITALの画質についてはひと言もふたことも言っておきたいのであります(といっても、こんなところ京セラの人は見てない読んでないだろうけれど)。
もう少し他社のデジタルカメラを謙虚に見て研究し、しかしコンタックスの自信と誇りは失わないで、でもいいところは積極的に取り入れもっと真面目に絵づくりをしてがんばって欲しいのです。Tvs DIGITALの画像を見ると、ちょっと、井の中の蛙、という気もしないでもありません。同じ被写体を、Tvs DIGITALと、キヤノンのPowerShot S50 (画質は素晴らしい)、ミノルタのDiMAGE F300 (絵づくりがうまい) と撮り比べてみましたが、いやなんと言いましょうか、コントラストは強すぎるし、エッジ部分の処理がザツだし、どうして同じCCDを使ってこうも違うのか。…ややディープになりすぎているかな、ぼくは。
2003年3月5日(水) EOS 10Dの、ISO1600の画質
キヤノン・EOS 10D+EF70〜200mmF2.8 ISEOS D60が発売されたのがたった一年前。フィルムカメラでいえばまだまだ新製品だ。そのD60の後継機種がこの10Dであります。撮像素子である600万画素CMOSなどは同じだが ―― もちろんこうした電子デバイスは一年たてば“別物”といえるほどに進化してしまうけど ―― デジタル一眼レフカメラとしては飛躍的にグレードアップされている。にもかかわらず、価格は10万円ほども安くなるようで実売価格は (まだ売ってないが) おそらく19〜18万円ぐらいになるのではというのがもっぱらのハナシ。気持ちは複雑。先日、D60を買った人は、やってらんないよなあ。
10DとD60とを比べると、スタイリングやスペックがあまり変わり映えがしないようですが、いえいえ、じつはぜんぜん違います。比較するのもイヤになるぐらい10Dのほうがずっと良いです。じゃあD60は、そんなにヒドいカメラだったのか、というと、いいえ決してそういうわけではないのであって、D60はD60で十分に“良いカメラ”であるのだが、10DとD60とを相対的に比べるとどうしてもこんなふうな評価になってしまうのであります。こうしたD60の「相対的陳腐化」が、いまのデジタルカメラでは宿命と言えるかもしれません。なんか少し悲しいけど。
さて10Dを使って感心したことはいくつかあるんですけど、そのひとつが、高感度での画質の良さでした。上の写真はISO1600にまで感度アップして撮影したものですが、とうぜんながら画像はザラついているけど、十二分に実用範囲のすばらしい画質なんですよ。
2003年3月6日(木) EOS 10Dの、ISO400の画像
キヤノン・EOS 10D+EF28〜135mmF3.5〜5.6 IS10Dのボディ外装はマグネシュウム合金製になった。D60がエンジニアリングプラスチック外装だったので少しちゃちっぽい感じもしないでもなかったが (価格のわりには、ね)、D10を持つと金属ボディ特有のずしりっとした持ち重りがして高級感を感じる。10DはD60に比べて10グラムほどしか重くなっていないのだが不思議とそれ以上の重さを感じてしまう。
10Dには撮影モードダイヤルに、P/A/S/Mのほかに絵文字で選ぶイメージゾーンがある。この絵文字モードのどれかを選ぶとISO感度オート (ISO100〜ISO400までの範囲) で撮影もできるようになった。コンパクトデジタルカメラではほとんどの機種にオートISO感度モードが入っているのだが、10Dのような本格的なレンズ交換式デジタル一眼レフカメラでは初めてのことだ。10Dのスペック表を見たとき、これにいちばん興味を持って、実際に撮影してみて「なるほど…」と感心しました。
コンパクトデジタルカメラではISO感度がアップすると、うんざりするほど画質が悪くなる機種もあるのだけど、この10DではISO100もISO200もISO400もそれほどの“差”がない。このへんにキヤノンはとくに自信を持っていたんだろうなあ。でないといくらなんでもこのクラスのデジタルカメラにオートISO感度モードは入れないだろう。ともかく感度アップしたときの画質の良さが10Dの、D60とは違う大きな特長ではないだろうか。
2003年3月7日(金) 「コダック+ニコン」のフルサイズデジタル一眼
コダック・DCS Pro 14n+AiAFニッコール14mmF2.8Pro 14n の14は1400万画素、n はNikon をあらわしておりまして、コダックがニコンF801をベースにして (といっても外観などはかなり手を加えている) 、ベルギーのベンチャー企業の作るCMOSセンサーを使って作り上げた35mm判フルサイズデジタルカメラ。つまりニコンマウントの“初”のレンズ交換式フルサイズデジタルカメラでもありまして、昨年秋のフォトキナ発表後、ニコンユーザーから発売が渇望されていたが、予定より数ヶ月遅れてようやく発売にこぎつけた。その、まだまだ試作品段階の機種を数日使うことができました。
本家本元のニコンを差し置いてニコンのカメラを使ってニコンのレンズを使うフルサイズデジタルカメラを他メーカーが先んじて作ったことに対するニコンの悔しさはいかばかりかとは思うけどでもしょうがないよねえ。
ところでPro 14n が使用しているフルサイズCMOSにはローバスフィルターもオンチップマイクロレンズも必要としない画期的な撮像素子 ―― デジタルカメラのメカニズムに詳しくない人はなんのこっちゃと思われるでしょうけれど無視して下さい ―― なのだ。このへんの影響などもPro 14n を手にする前に少し気になっていたのだが、いざ撮影を始めて見るとそんなことすっかり忘れて気分良く使わせてもらいました。で、その写りは、解像力の高さよりも階調描写力のすばらしさに感服しました。
2003年3月8日(土) コダックの底ヂカラ
コダック・DCS Pro 14n+シグマ24〜70mmF2.8Pro 14n は日本での発売は5月か、6月の予定で、価格は (いちおうオープン価格だけど) どうも70万円ぐらいになるらしい。米国のほうでは、ぽつり、ぽつり、といった感じですでに発売が始まっているそうです。聞くところによると、あれこれエクスキューズを抱き込ませたままお客さんには因果を含めて「手渡し売り」しているみたい、と。
つまりそのPro 14nは「完成品」となっておらず、いまも日々努力をしてチューンアップをしている「未完成」の状態での販売だそうです。それでも(アレでも)売ってしまうという、思い切りのよさ、もすごいよなあアメリカって (…なにかにつけて) 。
しかし、ファームウエアが完璧になって完成すれば、きっとかなりの実力が発揮できるいいカメラになるでしょう、使ってみてそんなことを実感した次第 (ただしベースがF80ですから、このへんがちょっと気にはなりましたけれど) 。もともとコダックはデジタル画像の絵づくりは大変にうまくて (DCS Pro Back を使って感動しました) 、だらかPro 14n の画像をじっくり見ていると、あれやこれやの不具合をチカラ技でねじ伏せるようにして作っているように感じました。
2003年3月9日(日) ほんとにローパスなしでモアレや偽色が防げるだろうか
コダック・DCS Pro 14n+シグマ24〜70mmF2.8Pro 14n のカメラボディのベースになっているのはニコンのF80で、AF一眼レフシリーズの中では「ミドルクラス」になる。同じフルサイズデジタルカメラでも、キヤノン・EOS-1Ds のようにトップクラスの高性能ボディ (EOS-1V) がベースになっているのと違って、F80ベースのボディでは、Pro 14n 撮影して得られる高精細の画像と比べてみるといかにも「格違い」という印象を受けてしまう。似たようなギャップ感はフジの S1Pro や S2Pro を使ったときにも感じたこと。せめてF100をベースにして欲しかったなあ。
Pro 14n が採用している撮像素子はベルギーのフィルファクトリー社とコダックが共同開発した総画素数が約1385万画素の35mm判フルサイズCMOS。だからこのCMOSをフィルファクトリー社が単独で販売することはできないけれど、しかしうちの社に相談してもらえば同程度のCMOSを作ることも不可能ではありませんから、さぁどこか日本のカメラメーカーと一緒にやりませんか、というようなことを昨年秋に、社長が日本に来て記者発表会場で演説をしておりました。
このCMOSはモアレや偽色の発生を抑える大事なはたらきをするローパスフィルターを使っていない。どんなふうにしてモアレや偽色を防ごうとしているのかぼくにはサッパリわからないのだが、しかしPro 14n で撮影した画像 (くどいようだけど「未完成」機種) をよくみると偽色も見られ、やはりローパスフィルターがないと現在の技術では完全にモアレや偽色を押さえ込むのはかなり難しいのだろうなあ。
2003年3月10日(月)
2003年3月11日(火)
2003年3月12日(水) ライカMP6の次は、MP6ソックリさんのMP発売
キヤノン・IXY DIGITAL 400初代IXY DIGITALの発売は約3年ほど前になる。2倍ズームレンズ内蔵で200万画素から始まり、その後同じスタイルを踏襲しつつ少しづつ改良を重ねバージョンアップしてきた。で、四回目の改良になるのがこの400で (四代目だから400というわけでもないだろうが) 、内蔵ズームは3倍になり画素数は400万画素になった。CCDサイズは従来の1/2.7インチ型から少し大きい1/1.8インチ型になった。そのCCDサイズに合わせた小さな3倍ズームレンズを新しく開発してそれを搭載しております。このレンズは良いデキです。
つい一ヶ月ほど前にライカが「MP6」という限定モデルを発表しました。数十年前のことですがM3をベースにして、それにライカビット (手動式の迅速巻き上げ装置) が取り付けられるように特別に改造した「MP」という機種がありました。生産台数がとても少なく中古カメラ市場で高額な価格で取引されております。そのMPの“復刻版”とでも言えるのがMP6 (現行のライカM6をベースにしているだけで、取り立ててどーってことはない) 。価格は39万円ですが、世界でたった400台の限定販売ですから発表と同時に、あっ、という間に予約完売。
ところが、たった一ヶ月そこそこで、その限定販売のMP6とほとんどソックリの、こんどは限定販売でもなんでもない通常モデルとして「MP」を発売するとライカは発表したのです。意気込んでMP6を購入した人には、なんだか狐につままれたような気もしないでもない。 (言うまでもありませんがぼくは買ってもいませんし買うつもりもありません)
2003年3月13日(木) フィルムもがんばっておるようです
キヤノン・IXY DIGITAL 400IXY DIGITALは初代からベストセラーを続けた機種で、だからユーザーからのフィードバックも多くモデルチェンジをかさねるたびにどんどん良くなっている。画質はほっておいても良くなるけれど (と思う) 、操作性やなどは使ってみてあれやこれやの意見や感想が得られないことには良くはならない (と同時にそうした意見を素直に受け容れて次期製品に反映させる広い度量を持っていないとだめなんだけど) 。キヤノンはオバケのような大きなカメラメーカーだが (自社製品について自信満々のように見えるけど)、意外と、人の意見にきちんと耳を傾ける素養を持ったメーカーなんですよ。
新製品はデジタルカメラばかりのようですが、しかしフィルムのほうも負けてはおらず (フィルムカメラのほうは少しさみしい) 新製品があちこちのフィルムメーカーから発表されております。コダックはリバーサルフィルムのE100シリーズがモデルチェンジされて、E100Sが「E100G」に、E100SWが「E100GX」、そしてダイナEXが「ダイナHG」にそれぞれ替わりました。粒状性がさらにきめ細かくなったこと (フジのプロビアFと同程度) が大きな特長。
またフジのほうも、とくにアマチュアカメラマンに大人気だったベルビア、そして一部のプロカメラマンに根強い人気のあったアスティアなどがモデルチェンジされるようです。カラーネガフィルムも新製品の発表もあって、フィルムもどんどん良くなってきています。
2003年3月14日(金)
2003年3月15日(土) フォトエキスポ2003が始まっております
キヤノン・PowerShot A70キヤノンはこの春、一眼デジタルカメラのEOS 10Dのほか、コンパクトデジタルカメラでは「IXY DIGITAL 400…4MP、実販約6万円」、「PowerShot S50…5MP、実販約7万円」、「PowerShot A70…3MP、実販約4万円」、「PowerShot A60…2MP、実販約3万円」、そして単焦点レンズ内蔵の「PowerShot A300…3MP、実販約2.5万円」と、多機種を発表しました。これらの中で、イチオシは ―― 価格とか機能とか写りとかを総合的に見れば ―― このPowerShot A70です。とてもバランスのとれたデキの良いカメラです。
「フォトエキスポ2003」が東京ビッグサイトで昨日から開催されております。会期は三日間で明日の日曜日まで。そこでぼくは「なるほど!写真塾」という写真教室を担当させられており、100人ほどの人たちを集めてデジタルカメラについてあれこれ話をしております。昨年、一昨年も同じような写真教室をやっていましたが、この教室にやってくる人たちの雰囲気がなんとなく今年は違っているような印象を受けました。その“違い”をうまく表現できないのですが、一昨年、昨年のようなデジタルカメラに対する熱気のようなものが失せてきたような薄まってきたような感じなんです。
本日と明日と、だだっ広い会場の隅っこで大声を張り上げる予定です。少し疲れます。
2003年3月16日(日) 汎用電池が使えるデジタルカメラは魅力的
キヤノン・PowerShot A70このA70は、3倍ズームレンズ内蔵、300万画素、実販価格4万円前後、電源は単3型乾電池4本使用、P/A/S/M撮影モードあり、ワイド/テレコンバージョンレンズ使用可能、のデジタルカメラであります。3倍ズームと300万画素で4万円前後、というのが2003年春のコンパクトデジタルカメラを選択するときの重要チェックポイントでしょう。A70はこの「条件」を満たしておりまして、さらにはコンビニでも簡単に入手することができる単3型乾電池を使っていることも注目してもいいでしょう。その写り具合についてはあれこれ文句を言うべきところはナニもありません。
東京ビッグサイトで開催中の「フォトエキスポ2003」は本日で終了です。ぼくが担当している「なるほど!写真塾」のデジタルカメラ写真教室にはたくさんの人たちに集まっていただきました。一昨年、昨年はおもに撮影技法などについて話をしたのだが、今年はテーマを少し変更して、コンパクトカメラやレンズ交換式一眼レフカメラの「選び方と使いこなし方」を中心に話をしました。たくさん出回っているデジタルカメラの中から自分にとってのベストワンを選ぶには、どんなところに注目すればいいか、なんてことがそのおもな内容でした。
でも (自分では) かなり詳しく説明したつもりだったのですが、その教室が終わったあとに 「デジタルカメラを買おうと思うのですが、どのカメラがおすすめですか?」 と質問されて、その答えにしばし窮しました。…やはり説明不足だったのかなあ。
2003年3月17日(月)
2003年3月18日(火) この春のもっとも注目すべきカメラかな
ペンタックス・Optio S今年の春の、新製品コンパクトカメラの中では、もっとも注目の機種でありましょう。ダントツの薄さ小ささ軽さは、それだけで凄い訴求力を持っていて目を引きつけます。収納時には構成レンズが2段重ねになって撮影時にはそれが一列になる“レンズ群瞬時組み立て式”の沈胴式ズームレンズのおかげで、アレほど薄型にできたのは、それはそれで事実なんですが、もうひとつ、小さな部品を効率よく組み上げていく高度な高密度実装技術 (これはノウハウの塊です) がないことにはあそこまで小さくはできません。さすがペンタックス、よくがんばりましたね、と拍手したくなるほどの素晴らしい仕上がりになっています。
ペンタックスはこのところ元気一杯で、レンズ交換式のデジタル一眼レフの発表もあって6月にはそれを発売するとのこと。ペンタックス一眼ユーザーにとっては待ち遠しい6月であります。もちろんぼくもペンタックスのレンズをたくさん持っておりますから楽しみであります。いっぽう、ミノルタはといえば ―― 主要なカメラメーカーで新型のデジタル一眼レフカメラについて黙りこくっているのはミノルタだけ ―― いっこうに出てくる気配がありません。ミノルタユーザーにとっては、もうそろそろ我慢の限界ではないかと思われます。もし“やる気”があるんなら、もうちょっと待ってくださいね、いま一生懸命に開発してますから、ぐらいのメッセージくらいあってもよさそうだけどなあ。
ところで、しつこいカゼと花粉症が重なってのフォトエキスポの写真教室でして、ぼくのその講座を聴きに来て頂いた人には、少し不愉快な思いをさせたかもしれませんでした。ごめんなさいね。
2003年3月19日(水) 似たもの同士だけど性格も顔つきもだいぶ違う
ペンタックス・Optio S周知の事実ですが、このOptio S に使用している内蔵ズームレンズはペンタックス製で、画像処理などの基本ソフトや基板類はカシオ製、CCDは松下製ということになっております。で、同時に発売されたカシオの EXILIM EX-Z3 とは、そのレンズやファームウエアソフトや基板類、CCDは同じものを使っている。しかし Optio S と EX-Z3 とでは同じ“部品”を使っているとはいえボディの大きさとかデザイン、操作性もかなり違っていて、とうぜんながらそれぞれの備えている機能もあちこちに違いがあります。似ているようで、ぜーんぜん別物に仕上がっているなあ、というのが両機種を使ってみた印象です。
ひと言で Optio S と EX-Z3 のそれぞれの「特徴」を述べるとすれば、Optio S は過不足のない充実した機能を備えた超小型デジタルカメラ、EX-Z3 は見やすい大型液晶画面とクレードルに対応した使い勝手の良い小型デジタルカメラ、ということになるのではないでしょうか。
ボディサイズは文句なしに Optio S のほうが小さく軽く薄い。にもかかわらず機能はふんだんに盛り込まれている (ぎゅうぎゅうに詰め込んでいる) 。たとえば、TV出力端子を備えているし、最短5センチのスーパーマクロ撮影モードやメモリーカードいっぱいまで録音可能なICレコーダー機能はあるし、AFのワイドとスポットの切り替えが可能あり、などなど EX-Z3 には“ない機能”が Optio S にはあれこれあるのですよ。
2003年3月20日(木) シンプルがベスト、だと思うがなあ
ペンタックス・Optio SOptio Sのボディはアルミ合金製。そのアルミ金属面にスピンドル加工という細い渦巻き状のラインが彫り込まれている。これが 「いいアクセント」 にしたつもりのようだが、しかしぼくにはどう贔屓目に見ても「いい」とは思えない。もしこの渦巻き模様なぞなく、アルミ金属の真っ平らな素材面だけを生かしたシンプルな外観になっていれば、もっともっと魅力的なセンスの良いカメラになっていただろうと思う。このボディのデザインをした人の“我の強さ”がオモテに出すぎていて、どうもなあ、と感じます。とくにボディ背面のスピンドル加工処理は、こりゃぁやりすぎです。
小さなOptio Sのボディには「PENTAX」のロゴがあちこちに彫り込まれていたり印刷されていて、ちょっと数えてみたらナンと8個もありました。会社名が先日、旭光学工業からペンタックスに変更になったから、それをアピールするためかなあ、なんてツマらんことを考えてしまいました。
このOptio SとカシオのEXILIM EX-Z3と、どちらを選ぼうかと悩んでいる人も多いでしょう。なんども言ってますけどOptio Sの魅力は小ささ軽さと多機能、EX-Z3は大型の液晶モニターです。Optio Sを使っていて、そのあとEX-Z3を手にして撮影をしてみると大きな液晶モニターを見ながらのフレーミングのやりやすさに感動してしまいます。それに対してOptio Sのモニターは小さすぎる。ぼくがもし、もう10歳若ければ躊躇することなくOptio Sを選ぶだろうけど、いまは老眼がすすんでいてだからEX-Z3のほうに大いに心惹かれる。
2003年3月21日(金)
2003年3月22日(土) 松下電器製の「ライカ製」レンズ?
パナソニック・LUMIX DMC-LC33華やかに発表され注目されたFZ1やF1に比べるといささかジミなデビューをしたカメラだが、もう少し注目してもいいカメラだと思う。200万画素3倍ズーム内蔵のLC20のボディスタイルをほぼそっくり受け継いで、中身は300万画素のF1を移植した機種。内蔵レンズも、F1に使用されているのと同じ焦点距離で開放F値のズームであります。外観がLC33と大差がなく新鮮味に欠けるが、省電設計が進んで電池 (単3型乾電池2本) のモチがかなり良くなった。
内蔵ズームレンズは「第二世代 ライカDC バリオ・エルマリートレンズ」とパナソニックがよんでいるもの。焦点距離、開放F値、レンズ構成 (6群7枚) など、F1の3倍ズームレンズとまったく同じスペックであるのに“第二世代”と言っております。さて、どこを改良させた第二世代レンズなのかサッパリわからない。
先日のフォトエキスポ2003のパナソニックブースでは、FZ1やF1を紹介するときに、「ライカのレンズ、ライカで作っているレンズ、だからよく写るんだぞ」と、まるでバナナのたたき売りのように大声を出して宣伝にこれ勤めている人がいましたが、LUMIXのカタログのどこにも「ライカ製レンズ」などと書いてありませんしパナソニック自身もそんなことをひとことも言っておりませんのに、ちょっとアレはひどいよなあ、としばらく聞いておりました。聞いている多くの人たちもけっこうサメているようでしたけど、本気にしてたのかなあ。
2003年3月23日(日) さあて、アナタならどちらを選ぶか
キヤノン・PowerShot A60A70は300万画素で、このA60は200万画素。どちらも1/2.7インチ型CCDを使っているから内蔵ズームレンズは同じだし、もちろんボディサイズやスタイリング、操作系はまったく同じ。電源に単3型乾電池を4本使っているから、このクラスのカメラにしては少し重い (他の専用電池を使った機種に比べて) けれど、それが決定的なデメリットになるかといえばそんなことはない。A70と並んでとても魅力的なデジタルカメラに仕上がっている。
A70もA60も、もうそろそろ販売が始まる頃だと思うが、実販価格はA70が3万9千円、A60が2万9千円ぐらいではないかと予想されている。画素数が違うだけで一万円の差なのだが、さあてこれをどう判断するかでありますがこれがじつに悩ましい。ぼくは多画素数至上主義者ではないし小画素サイズ徹底抗戦派でもないということを前提にして、お前ならどちらの機種を選ぶかと問われれば、迷った末にA60のほうです。A70の300万画素の魅力も大きいけれど一万円の価格差がネックになる。
「一万円」で容量の大きいメモリーカードを買ったり、ニッケル水素充電池と充電器を購入するようにしたほうが、この場合ずっと賢明なような気がします。でも、200万画素と300万画素の画質の違いは、ときとしてハッキリと見分けがつくときもありますので、少しでも“高画質”がお望みなら文句なしにA70にすべきでしょう。
2003年3月24日(月)
2003年3月25日(火) 匿名のメールはカンベンして下さいね
カシオ・EXILIM EX-Z3些細なことだが、オートISO感度モードを選んだとき、このカシオのZ3はISO50〜160まで変化するが、ペンタックスのOptio SはISO50〜100までしか変化しない。どちらの機種も、画質をどこまで許すかをぎりぎりまで社内議論を重ねて決めたことだろうが、ぼくはこのクラスの機種なら思い切ってISO200まで連動させても良かったのではないかと思います。実際、ISO200の画質はそんなに悪いとは思わないし (数年前のデジタルカメラの画質に比べれば“格段”に良い) 、それよりも少しでも高速シャッタースピードで撮影ができてブレてない画像のほうがずっとイイと思うよ。
唐突だけど、メールでご意見やご質問などのお便りをいただくことがときどきあります。可能な限りお返事を出そうとは思っているのですが、不精者のぼくはつい返信せずにそのままになってしまうこともあり、すまぬことです。ただ、メールにお名前を書かずに送ってこられる人が多いのですよ。掲示板に投稿するのと同じノリで匿名 (ニックネーム) でメールを送ってこられる人もいる。ぼくは匿名のかたや、名を名乗らぬかたには返事を出さないようにしております ―― というと、とってもエラそうな物言いになりますが、気に障ったらごめんなさいね。
いただいたメールを読んで、ひと言でも返事を出したいなあ、と思うときもあるのですが、お名前もわからない人に手紙 (メール、です) は出せない、というのがぼくのささやかなポリシーは守っております。ということで、あしからず。
2003年3月26日(水) スマートズームとデジタルズーム
ソニー・Cyber-Shot DSC-P8Pシリーズはあれやこれやたくさん出ていて (そのうえ、特別限定モデルなどもあって) もうナニがナニやらよくわからない。で、このP8は、いちおうP7の後継機種となるもので、どちらも同じ300万画素機種となるわけだが、正確に言えば、P8は330万画素の1/2.7インチ型CCDを使っていて、P7は334万画素の1/1.8インチ型CCDを使っていた。CCDサイズはかなり小さくなって画素数はほとんど同じ。だからピクセルサイズも“憎っくき極小サイズ”となってしまったわけだが、その写りはまーったく問題はありません。…まだ極小ピクセルサイズであることだけを取り上げてあれこれ文句を言う人なんぞいるのかなあ。
たぶんDSC-F77の機種からだったと思うが、ソニーではいわゆるデジタルズームのことを「スマートズーム」と呼ぶようになった。デジタルズームで撮影した画像は画質がガタ落ちになってしまう (当たり前だ) という評価を避けるために (無駄なことだと思うけど) 、スマートズームと名称を変えて、と同時に画質の劣化が目立たないような工夫をした。
いやなに、工夫とはいっても、デジタル処理的に画期的な画像補間処理をしているようではなく (これは推測) 、ただ単純に画質の劣化が“目立ちにくい”ようにしているだけ。カンタンに言えば記録画像サイズにあわせてデジタルズームのズーム倍率に規制をかけているわけです。だからP8の最大記録画像サイズではデジタルズームはまったく働かず (いちばん画質劣化がはっきりする) 、それより小さな記録画像サイズを選んだときだけ (画像サイズに応じて) だんたんにデジタルズーム、いやスマートズームができるようにしているのです。こうすればデジタルズームをしても画質の劣化が目立ちにくい…うまくわかりやすく説明ができませんが。
2003年3月27日(木)
2003年3月28日(金)
2003年3月29日(土)
2003年3月30日(日)
2003年3月31日(月) 大分・豊後高田・熊野磨崖仏
キヤノン・PowerShot S50PowerShot S40/S30につづいて、410万画素のS40をマイナーチェンジしたのがS45。で、S40もS45もCCDやレンズは同じだったけれど、画像処理に映像エンジン・DIGICを採用したというのがS45のウリでありました。さて今回発表になったS50は、S45のボディ、内蔵ズームレンズ、DIGIC画像処理は同じままで、CCDを500万画素のものにした“だけ”。ずしりっと重いボディ、ゆっくりした起動時間、500万画素にやっとこさ応えられる程度のレンズ描写力などなど、カメラづくりにはソツのないあのキャノンにしては、いささかアピール度に乏しい商品だなあ。
とはいえ、S50はキャノンのコンパクトデジタルカメラの中では唯一の500万画素機種だ。なぜ、PowerShot G3のほうを500万画素にせずに、レンズもちょっとプアーなS45を500万画素にして“お茶を濁した”のだろうか。よくわからん。なおS50はS45の「後継機種」ではなく、S45もS50も併売される。
以下はまったくぼくの予想だけれど、次は、まずG3が400万画素から500万画素になり、S50は4倍ズームレンズが内蔵されて、IXY DIGITALにも500万画素が出て…、なんて勝手なことを考えております。コンパクトデジタルカメラはますます (まだまだ) 高画素化とズーム倍率アップ化がすすんでいくのではないでしょうか。ちなみに、S50の実販価格は7万円前後らしく、ちょっと値頃感として高いような気もしないでもない。