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2005年8月6日(土)   ……。

コニカミノルタ・DiMAGE X1
 コニカミノルタが作るその製品については、ぼくは、仕上がりも売れ行きも含めてナニかと気にかかります ―― とくにミノルタにはムカシから、親しくおつき合いしてもらっている人が多いですから。
 で、このX1なのですが、ボディ仕上げや操作性にいくつか気になることがありました。以下、使ってみて気づいた“事実”だけをランダムに箇条書きします。ボディ表面の処理のせいか素材のせいか、指先の手あぶらがべとべとにくっついてその汚れが容易に取れません。自分で使っていて、自分の指あとがついたX1を、うわっ汚い、と思ってしまうほど。設定できる最高ISO感度がISO200までしかありません。そのISO200の画質は決して良いとは言えません。他メーカーのISO400相当の画質です。シャッターボタン半押しで手ブレ補正がオンになるモード (モード1) にすると、シャッター半押しでぶーんぶーんとレンズユニットが振れるかすかな音と振動がします。いかにも電気を大量消費しているような感じがします。




 だからでしょうか、ストロボをワンカットも発光させずに約70〜80カットほど撮影しただけでフル充電の電池に残量警告マークが出てしまいました。ISO感度にかかわらず約1/15秒以下のシャッタースピードになると、撮影直後に自動的にノイズリダクション処理 (約1.5秒) がかかってしまいます。この処理はキャンセルすることはできません。連写モードでもスローシンクロモードでも、1/15秒以下になると自動的に有無を言わさずノイズリダクション処理がおこなわれます。X1は最高2コマ/秒の連写機能を備えていますが、この連写モードでもワンカットづつノイズリダクション処理がかかってしまうことがあります。AFの測距スピード、メディアの書き込み速度もスピーディーとは言い難いです。AFの測距精度も (なぜか) あまり良くありませんでした。画期的な方式と言ってもよいレンズユニットスイング方式の手ブレ補正の効果はじゅうぶんにありました。やはり手ブレ補正はイイです。とくにX1のような高画素カメラには手ブレ補正の恩恵は大きいです。動画モードでのフレームレートはなぜか20フレーム/秒です。動画撮影のときには電子式補正方式で自動的に手ブレ補正モードが働きますが、静止画像の手ブレ補正ほどの効果が実感できませんでした。
 このほかにもこまごましたこと (イイこともそうでないことも) に気づきましたが、きりがありません。あとはみなさん、ご自分で判断してこのX1についての最終評価を出してみて下さい。ぼくとしては、もう少しがんばって欲しかったなあ、というのが正直な印象でした。

2005年8月7日(日) ぼくごときが心配してもしょうがないけれど

コニカミノルタ・DiMAGE X1
 X1は800万画素ですが小さな1/1.8型CCDを使っています。このCCDのメーカーについては想像にまかせますが、CCDそのもののせいもあるかもしれませんけれど、ノイズリダクション処理をしてもノイズがウマく消せてなくて多少粗っぽい印象の画質になっています。これは (いまは) しょうがないなあと思うのですが、そのX1の800万画素CCDで撮影した画像を見ただけで「ほら、やっぱりちっちゃな画素のCCDはノイズがあるからだめだよなあ」と、また鬼の首でも取ったように言う人がいる (だろう) ことです。
 いま流行なのでしょうか、画質の評価の対象は「CCDのサイズとノイズのあるなし」だけのようにも感じます。カメラの総合的な評価までがCCDサイズとノイズが軸になっているようです。ヘンな見方をするもんです。そもそもぼくは、ノイズなんか多少あったっていいではないか、画質はノイズのあるなしだけで判断するもんではない、という考え方を持っておりますから、そうしたノイズ偏重主義にときとしてうんざりすることもあります。




 ノイズだっ、ノイズがあるぞっ、と、その事象だけを大きな声で言いすぎるから、気の弱い画像処理担当者なんかは、ノイズを目立たなくすることだけに汲々として写真画像にとっていちばん大事なこと ―― 画像全体を見たときの切れ味や解像感、階調描写性や立体感など ―― をなおざりにしてしまうということも、なきにしもあらずなのです。そうなると画像の処理を担当する者の矜持とかアイデンティティーとかが感じられないぽわーんとした画像になってしまうのではないでしょうか。いや、X1の画像がそうだといっているわけではありません。ハナシが少し横道にそれているだけです。言い添えますが、X1の画像はやや粗っぽい荒削りな印象は受けますが、“ぽわーん”の画質ではありません。
 ぼくがいま心配なのは、X1のノイズ・ブーイングに対処しようとして、今後のコニカミノルタのカメラに対して画像処理担当者がさらにもっと強烈なノイズリダクション処理などなどをおこなってしまうのではないだろうかというものです。というのも、感度設定をISO200までにとどめていること (いまの時代に逆行してますよね) 、強制的ノイズリダクション処理をおこなっていること (ユーザーの意向を無視していますね) 、などを見るにつけ将来が少し心配になります。

2005年8月8日(月) 

2005年8月9日(火) どんなブレ補正機構も“完璧”ではありません

パナソニック・LUMIX DMC-FZ30
 35〜420mm相当の12倍もの高倍率ズームレンズを内蔵したレンズ一体式一眼デジタルカメラであります。この12倍ズームレンズには光学式の手ブレ補正機構が組み込まれていますから、望遠撮影のときにもブレの少ない (目立たない) 写真を得ることができます。ただし、手ブレ補正機構にそっくりオンブに抱っこしすぎると痛いめに合います。あくまで補助的な機構と考えて、シャッターを切るときは「ブラさないように」と、つねに心がけるべきです。安易なシャッターイッキ押しは避けるべきでしょう。とくにこのカメラは800万画素もの高画素ですから、ちょっとしたブレ (や、ピンぼけ)でも影響大です。
 いくつか感心させられるところのあるカメラですが、そのひとつにフリーアングル液晶モニターがあります。2.0型で約23万画素で見やすいだけでなく、角度が自由自在に可変できます。その可変機構のメカニズムがじつにコンパクトにまとめられていてよく考えられています。




 このFZ30の発表会 (FX9、LX1も) の会場で、レンズ光学式の手ブレ補正機構がいかに優れているかをアピールするために、フジの高感度対応CCDを使った機種 (F10だったかな) と比較した画像をたくさん展示してました。光学式手ブレ補正方式は画質の悪くなる高ISO感度を選ばなくてもブレない高画質が得られるのだというわけです。でも、この光学式ブレ補正はコニカミノルタに言わしめると (先日のα-Sweet DigitalやX1のときも言ってましたが) 、一部の光学レンズを動かすためレンズの描写性能は悪くなる、その点、わがCCDシフト方式はレンズに負担をかけないからレンズそのものの実力をストレートに発揮できる。さていっぽうのフジも、言われっぱなしではありません。フジいわく、光学式にしろCCDシフト式にしろ、確かに手ブレは補正することができるけれど、じゃあ被写体ブレに対してはどうするのか、手ブレにも被写体ブレにも対応してブレを補正できるのは高ISO感度を選んで高速シャッタースピードで撮影できるからだ、と。
 ナンだか互いにライバルのアキレス腱をけっ飛ばしながらわがほうの利点を強調しているようで、あまり前向きのアピールのしかたではありませんねえ。

2005年8月10日(水) 

2005年8月11日(木) EX光学ズームはデジタルズームとは少し違う

パナソニック・LUMIX DMC-FZ30
 最高ISO感度のISO400の画質ノイズだけを見て「ノイズ偏重主義者」たちは“ノイジーだっ”とまた、いうに違いありません。ま、そんな画質です。たしかに、きめ細かな滑らかな画質ではありませんが ―― 松下製の800万画素1/1.8型CCDですからこんなもんでしょう ―― でも、解像感はあります。粗いですけどシャープな印象の画像です。良い傾向の画像処理だと思います。ぼくにとっては充分です、ここまで写れば。ただし、オートホワイトバランスモードでの色調の不安定さが、ちょっと (かなり、かな) 気になりました。日陰で人物のクローズアップで背景は木々の緑、とオートホワイトバランスにとってかなりイジの悪い撮影条件だったことは認めますが、3〜4台一緒に撮影してこのFZ30ただ一台だけがとっちらかっていたのです。…と言えば、画像処理の担当者は原因がどこにあるかすぐにわかると思います。




 やはりこれくらいの高倍率ズームレンズになるとズーミングが手動式のほうが操作性はばつぐんにイイですね。いったんこの手動式ズーミングに慣れてしまうと電動式には戻れないです (ただし高倍率ズームレンズの場合です)。
 FZ30と、同時に発表されたFX9、LX1には、新しく「EX光学ズーム」の撮影モードが搭載されました。このモードを選ぶとFZ30の場合、35〜420mm相当の12倍ズームが35〜530mm相当の15.3倍ズームになる、というものです。つまり800万画素の中から500万画素ぶんを切り取って“望遠”にしているだけなのですが (800万画素で撮影した画像を補完処理をして“望遠”にしているのではない ―― 誤解を恐れずにたとえれば、原理的にはDX2のクロップ撮影モードと似たところがあります) 、さらにハナシがややこしくなりますけれど、35〜530mm相当の焦点距離範囲の中で広角側の35〜44mmまでは800万画素で撮影した画像を500万画素の画像に“補完処理”をして小さくしています。こうした新しい撮影機能もまた、CCDが高画素化したことと、使用領域を限定することができるCCDが設計されたためにできたワザなんでしょうね。

2005年8月12日(金) 

2005年8月13日(土) 撮影する気分を盛り上げてくれる良いカメラです

富士写真フイルム・FinePix S9000
 いいカメラです。数あるレンズ一体型一眼デジタルカメラ ―― これをフジでは「ネオ一眼」と言ってますが ―― の中では、イチバンでしょう。同時期にパナソニックからも同じようなスペックを持ったレンズ一体型のFZ30が発表されました。その両機種を同時に使い込んでみましたけれど、ぼくなら文句なしにこちらのS9000を選びます。いや、FZ30がだめなカメラと言っているわけではないです。2機種を比べると、ぼくにとってはS9000が良さそうだと言っているだけです。FZ30には手ブレ補正機構が内蔵されていたりして魅力のあるカメラに仕上がっています。でも、S9000のほうがカメラとしての総合的な完成度がやや高く (いくつかの要改善点もありますけれど) 、だから使い勝手がすこぶるよろしいです。
 ところで、最近レンズ交換式一眼レフカメラがポピュラーになったせいでしょうか、こうしたレンズが交換できない一体型一眼を少し“こばか”にする傾向があるようですが、いやいやなかなか、そうばかにしたもんではありませんよ。




 1/1.6型の900万画素スーパーCCDハニカム「HR」を使っております。基本的にはF10のCCD、画像処理と同じで高感度に対応したカメラで最高ISO感度はISO1600まで選べます。ただしF10に使用のスーパーCCDハニカム「HR」は1/1.7型の630万画素で、CCDサイズと画素数が違います。F10の1/1.7型CCDをさらに微細化して900万画素にと思ったようですが、さすがそうなると画素サイズが小さくなりすぎてしまうので“やむなく”CCDをサイズアップして1/1.6型にしたそうですが、画素サイズがF10に比べて小さくなったことに変わりはありません。でも、F10が開発されたときから少し“時”がたっておりますから、その間にも急速に技術革新がすすんで、S9000の画質はF10と同等、またはそれ以上になっているように感じました。900万画素という高画素による高い解像度のおかげで、小画素多画素の弊害が少しですが隠されているような、そんな印象を受けました。
 撮影条件さえ良ければ (高ISO感度での比較でなければ) 、同じような画素数を持ったAPS-Cサイズのレンズ交換式一眼レフカメラの画質 (階調描写力、解像度など) と、充分に張り合えます。

2005年8月14日(日) 

2005年8月15日(月) 平田さーん、どうお考えですか?

富士写真フイルム・FinePix S9000
 使い勝手がイイので返却せずにいまも使っていますが、なんと言っても撮影時の各操作部の動作、反応がきびきびして好印象のカメラです。写りも大変によろしい。高ISO感度での画質もいいです (ただしISO1600をのぞく) 。ですが、2〜3点のちょっと気になる不満もありました。ひとつは、28〜300mm相当のズームレンズの最短撮影距離が広角側では50センチなのに望遠側では2メートルと、かなり“遠く”なることです (マクロモードに切り替えれば90センチになりますが)。シグマ、タムロンの「28〜300mm」の最短がズーム全域で45センチであることを考えれば、もう少しナンとかならなかったかと。コンパクトな高倍率ズームだから300mmもの長焦点であることを忘れて、ついつい被写体に寄って写してしまいがちなのです。レンズの描写はズーム全域でこれといった不満はありません。良好な描写のレンズですし、ズームリングの回転トルク感がすこぶるよろしい。




 ふたつめは、撮影画像の再生表示のスクロールが“極端に”遅いことです。スーパーCCDハニカムを使っての特殊画像処理をしているからしょうがないのかもしれませんが ―― S3Proも同じようにメチャ遅いです ―― これもひと工夫(努力)して欲しいところです。撮影した画像を数カット戻ってその前後画像を比較チェックしようとすると、これがかなりイラつきます。
 みっつめは、P/A/SモードでオートISO感度が選べないことと、ブレ軽減や人物、風景などのオートモードで露出補正ができないことです。フジに言わせると「マニュアルの撮影モードとオートの撮影モードをはっきりと区別している」ためとのこと。つまりP/A/Sモードは“マニュアル優先”なので“オート”のISO感度設定は“必要ない”ということなんだそうです。同じように人物、風景、ブレ軽減、ナチュラルモードなどは“オート優先”、露出補正は“マニュアル”操作であるため“設定できないように”したそうです。こうした「思想」はS9000に限ったことではなくF10やそれ以前の機種からずっと「保持」されております。でも、この考え方はナンだかちょっとヘンだなあと思いますけれど、平田さん、どうお考えですか。

2005年8月16日(火) 

2005年8月17日(水) 

2005年8月18日(木) 

2005年8月19日(金) ディストーションの少ない超広角ズームです

シグマ・SD10 + 10〜20mmF4〜5.6 EX DC
 シグマ製のデジタル一眼レフ用超広角ズームレンズです。カバーするイメージサークルをAPS-Cサイズ相当の撮像素子に限定して設計された「DCレンズ」です。言うまでもありませんが35mm判フルサイズカメラには対応していません。シグママウントのほかに、キヤノン、ニコンマウント用があります。SD10と組み合わせると17〜34mm相当に、キヤノンだと16〜32mm相当、ニコンでは15〜30mm相当の画角になります。同じような超広角ズームで、レンズメーカ製の汎用レンズとしてはタムロンの「SP AF11〜18mmF4.5〜5.6」やトキナーの「12〜24mmF4 Digital」などもあります。ニコンにも「DX 12〜24mmF4」、キヤノンにも「EF-S 10〜22mmF3.5〜4.5」といったデジタル一眼専用レンズがあります。なかなか競争の激しい市場です。




 競争の激しい広角ズームレンズ市場ですが、上記の5本のレンズともそれぞれ描写は個性的でして使ってみるとあれこれ愉しいです。フィルムカメラのように同じフィルムを使って比較することができないので、レンズそのものの発色傾向や階調描写力などについて正しく評価することは難しいですから ―― やってやれないことはないでしょうけれど ―― あくまで個人的経験と個人的主観で“良し悪し、好き嫌い”を判断するしかありません。
 ま、そんなことはともかくとして、シグマ・10〜20mmを使ってみていちばん印象に残ったのはタイヘンにディストーションが、つまり歪曲収差の少ないレンズであることでした。とくに10mmの広角側では「恐れ入りました」とアタマが下がるほどに直線が真っ直ぐに写ります。20mm側でごくごくわずかに糸巻き型になるぐらいです。ただし、その歪曲のない広角10mm側の描写でありますが、開放絞り値ではイマイチでして2〜3段ほど絞り込まないと画面周辺部がしゃきっとしてきません。その点、20mm望遠側は開放絞り値でも広角側とは“月とスッポン”ほどにも描写が違ってこちらは文句なしでありました。それにしても、話は違いますが、SD10というカメラはほんと、使いこなしの難しいカメラですねえ ―― 使いこなせれば凄いカメラなんですけど ―― いつも往生させられます。

2005年8月20日(土) 非球面レンズのいろいろ

シグマ・SD10 + 10〜20mmF4〜5.6 EX DC
 10群14枚構成の豪華なレンズ構成です。いや、レンズ枚数が多いから豪華というわけではなく ―― レンズ設計の理想をいえば枚数が少ないほどイイのですが ―― 非球面レンズや低分散ガラスなど“特殊硝材”をふんだんに使っているのです。レンズ第一面には球面収差や歪曲収差を少なくするために大口径のガラスモールド型非球面レンズ (熱で柔らかくしたガラス硝材を型で押しつけて非球面に仕上げる) を使用し、ほかにもハイブリッド型非球面レンズ (ガラス硝材にプラスチック材などを貼り付けて非球面にする) を2枚使っています。さらに色収差などの発生をおさえるために特殊低分散ガラス (SLD、分散率つまり色 ―― 光の波長 ―― による屈折率が他のガラス硝材に比べて特殊) を3枚も使っています。




 非球面レンズは加工するための高い技術も必要ですが、それ以前に精密な金型を作る技術が不可欠です。どこのメーカーもこうした非球面レンズを作るための金型設計はトップシークレットになっております。あるメーカーのレンズ工場を取材したとき“特別に”ということで非球面レンズの金型を作っている部屋に案内してもらったことがあります。もちろん撮影はいっさい禁止です。そのとき「部外者でここに入ったのはタナカさんが初めてです」と言われました。でもぼくがそこに並んでいる加工マシンや出来上がった金型を見たって、どこがシークレットなのかわかるはずもありません。だから見せてくれたのかもしれませんね。結局、せっかく見せてはもらったのですがぼくには猫に小判でした。
 いま思い出しましたが、ずっとずっと前の話でキヤノン下丸子の本社でレンズを作っていたことがありました (いまは宇都宮に移転しました) 。そこにも“特別に”見学させてもらったことがあって、当時キヤノンだけがやっていた切削非球面レンズ (ガラス硝材を超精密に削って非球面に仕上げる) を作っている工程の近くにやってきましたが、「あっ、タナカさん、ここから先はだめっ、接近禁止です」と、近くで見ることも許されず加工の様子を遠望したことがありました。

2005年8月21日(日) R-D1で白黒写真

エプソン・R-D1 + ズミルックス35mmF1.4
 いままでに使ったデジタルカメラの中で画質 (階調描写と色調) について「これはイイなあ」ととくに印象に残るのは、このR-D1とキヤノンのEOS-1Ds Mark2です。ただし1Ds Mark2の場合、カラーマトリックスや現像パラメータを被写体に応じてきめ細かく“自分好み”にセッティングしておかなくてはならないのがちょっと厄介ですが、R-D1は、ま、スのままで良い画質です (使用するレンズによって一概には言えませんけれど) 。
 この2機種以外では、いまは生産中止になってしまいましたがコダックの645用のDCS Pro Back の画質が素晴らしかったですねえ。コンタックスの645と組み合わせて使いましたが、その撮影画像を見て「うーんっ」と唸らされました。撮像素子の大きさの違いにもよるでしょうけれど、そんなことよりも「写真画質とはなんたるか」をコダックはよく知っているなあと思いました。色の深み、ハイライト部からシャドー部にかけての上品な階調描写力など、当時のAPS-Cサイズクラスのカメラとは大きく違っていました。ですから、いま開発中といわれているペンタックスの645 Digital も、せめて Pro Back 645 並みに仕上げて欲しいものです。




 で、R-D1ですが、最近はもっぱらISO1600やISO800の高感度を選びモノクロモードで撮影を愉しんでおります。もともとR-D1の高ISO感度の画質は大変に優れていまして、適度にノイズを残しつつシャープさとディテール描写を損なわずにじょうずに画像処理をしています。残っているノイズも、きめ細かくツブが揃っている感じです。ぞんざいな言い方をすれば“イヤミのない高ISO感度の画質”なのです。聞くところによるとCCDから得たアナログ情報をデジタル情報に変換する段階で、かなりの“贅沢”をしてノイズ除去をしているんだそうです。
 この高ISO感度でモノクロモード撮影をしますと、ノイズなんぞますます目立たなくなり、むしろ少し残っているノイズが、まるで銀塩フィルムの「粒子」のようにも見えて、これがまたナンともいい雰囲気を出してくれるのです。なお、このモノクロ撮影モードのときはマイナス1/3〜2/3EVほど露出補正をして、コントラストをプラス側にセットしています。

2005年8月22日(月) 

2005年8月23日(火) R-D1で白黒写真、ふたたび

エプソン・R-D1 + エルマーM50mmF2.8
 R-D1の不満はファインダーだけ。とくにライカM3などを使い込んでいるモノから見れば、その視野率のエエ加減さには腹が立つというよりも笑ってしまうほどです。そこでぼくは、たとえば35mmレンズを使うときはブライトフレーム切り替えレバーのポジションを「28mm」にして使っております。それで (まあまあ) いい具合のフレーミングができる。50mmレンズなら「35mm」のポジションにして少し手加減をしてます。という具合に、使いこなしが少し厄介なカメラで ―― そしてピントも自分で合わねばならず ―― だから、使っていても飽きの来ないカメラで、ウマく写すにはそれなりにアタマを使わなくちゃならず、それがまた、なにかと愉しい。




 撮影するときにわざわざモノクロモードを選ばずにRAWで撮影しておけばあとでカラーにでもモノクロにでもできるじゃあないか、と言われることがありますが、ハナからモノクロで撮影するのとRAWを選んでおくのとでは写すときの気合いが違います (ぼくの場合)。RAWで写して後処理でどうこうする、なんて始めっから逃げ道を作っているようでオトコとして潔くありません (…ちょっと大袈裟か) 。いや、RAWで撮影、RAWの処理がワルイって言ってるわけではなく ―― とうぜんながらその価値は十二分に認めていますしぼくもしょっちゅうRAWで撮影もします ―― R-D1でモノクロ撮影するときは、そう、ちょうどモノクロフィルムをカメラにセットしてしまっているのと同じ気分でいたいわけです。じっさい、たとえばカラーモードで撮影したあとに、Photoshop かなんかを使ってモノクロに変換したりすると、いやなんと言えばいいのか、しっくりとこないんです。その写真に“甘え”が透けて見えて、よくありません。とかなんとか、また、ちょっとオタクっぽいハナシになってしまいました。

2005年8月24日(水) ヨモさーんっ

キヤノン・IXY DIGITAL 700
 700万画素の1/1.8型CCDやボディサイズ、デザインはIXY 600を (ほぼ) そのまま引き継いで、液晶モニターを2.0インチ型から2.5インチ型に大型化したのがこのIXY 700です。キヤノンはいつまでたっても大型液晶を搭載してくれないっ、と文句を言っておりましたが、ようやく“重い腰”をあげて2.5インチ型の採用にふみきりました。と、とたんにコンパクトだけでなく一眼のほうも (EOS 5DやEOS-1D Mark2 N) 同時に2.5インチ型液晶に切り替えました。キヤノンはやるときは、やるぞっ、というわけですね。
 IXY 700の大型液晶を見て、おおいに感心したのは光学ファインダーが省略されていないことでした。ぼく自身はコンパクトカメラの光学ファインダーの必要をほとんど感じないのですが、そんな個人的趣味趣向とはかんけいなく、とうぜんながらないよりもあったほうがイイに決まっています。




 IXY 600と同じボディサイズに強引に大画面液晶を詰め込んでいて、IXY 700のボディ背面を見るとキヤノンがどれだけ苦労して、光学ファインダーをそのままにして2.5インチ型液晶を入れ込んだか想像に難くありません。このへんのこだわりはさすがにキヤノンだなあと感服いたします。ヨモさーん、いつもイヤみばかり言っててごめんなさいね、よくがんばりましたね。
 でも、ただしねえヨモさーん、まだまだ「技術の出し惜しみ」をしているように感じますよ。IXY 700に800万画素CCDや手ブレ補正レンズを搭載しなかったのは、ぼくはちょっと意外でありました。今年の暮れのモデルにはとりあえず大型液晶モニターをのっけておけばよし、来年の春まではこれで充分に他社のライバル機種に張り合っていける、ほっておいても売れる。で、来年モデルには1/1.8型800万画素と手ブレ補正を搭載して、そこでいっきに他社を引き離す、という筋書きではありませんか、ヨモさーんっ。

2005年8月25日(木) 

2005年8月26日(金) オートホワイトバランスモードの精度が向上しました

キヤノン・IXY DIGITAL 700
 CCD画素数もボディデザインもサイズも同じなので、600と700との違いはボディ背面の液晶モニターの大きさ“だけ”のようですが、じっさいに使ってみればわかりますけれど、操作性や画質など総合的に見て相当に良くなっています。ただし、画質については600も700もほとんど差はありません。強いていえば、700では高ISO感度でノイズが少し目立たなくなったこと、オートホワイトバランスの補正バランスがだいぶ良くなったこと (いずれも600と比べて) の2点でしょうか。
 オートホワイトバランスは精度がアップしたというよりも、さまざまな光の状況下で、どれくらいその場の光を残してどれくらい補正すればより自然に見えるか、ということがキヤノンの人たちがよくわかってきたように感じました (イバッた言い方でごめんなさい)。とにかく、オートホワイトバランスモードのままいろんな状況で撮影してみましたが、ほとんどがとっても素直な色調に仕上がっていまして、これには感心しました。




 いままでIXYはすべてシャッタースピードと絞り値を表示させませんでした。なん人もの人たちが何度も“要望”をしたのですがキヤノンは、がんっ、として受け入れてくれませんでしたが、ようやくこの700からシャッタースピード数値が表示されるようになりました。ただし低速時のみ、つまり手ブレ警告をかねてシャッタースピードを表示するだけで、手ブレしないような“高速時”はいままで通り表示なしです。じつは、この手ブレ警告が出たときはすみやかにISO感度をアップして撮影しなさいね、というメッセージが込められておりまして、だから、この700では十字キーでISO感度がダイレクトに設定できるようにしてあります。でも、ほんとうは、こうした小手先の「手ブレ警告+高ISO感度」でお茶を濁すのではなくて、正真正銘正攻法で手ブレ補正機構を搭載すべきでしたよね。ま、それは次機種に温存しているのでしょうけれど、ちょっと残念でした。
 カメラ縦位置で撮影した画像を再生したとき、通常はカメラを横にして見たときは小さな縦表示になりますが、そのままカメラを縦にすると画像もいっしょに縦なって2.5型液晶画面いっぱいの大きさに表示されます。文才がないためにウマく説明できないでじつにもどかしいのですが、この新しい縦横表示はぜひ、カメラ屋さんなどで試してみて下さい。うおっ、と小さな声をあげて感心することでしょう、きっと。

2005年8月27日(土) 

2005年8月28日(日) キヤノンの新フルサイズデジタル一眼レフカメラ

キヤノン・EOS 5D (β機) + EF24〜105mmF4L IS
 現在の多くのデジタル一眼レフカメラは、従来の35mm判フィルム一眼レフのボディや交換レンズも含めたシステム全体をそっくり受け継ぎながら ―― というよりも“ヤドカリ”のように中身だけを変えて ―― デジタル一眼レフに仕立てています。そもそも、35mm判一眼レフカメラは36mm×24mmの撮像面が基準になってカメラボディや交換レンズが設計されシステムとして組み立てられてきたものです。だから、そうした35mm判フルサイズカメラのシステムをそっくり利用してデジタル一眼レフカメラを作るのなら、ほんらいなら撮像素子のサイズも36mm×24mmサイズであることがもっとも“合理的”であり“理想的”だったわけです。ところが、諸般もろもろの事情によりフルサイズよりもずっと小さな撮像面積しかないCCDやCMOSを使わざるを得なかったわけなのです。
 EOS 5Dはフィルム35mm判と同じ「フルサイズ」の撮像素子 (CMOS) を採用したカメラで、EOS-1Ds、1Ds Mark2につづくキヤノンでは“3機種目”として発表されました。価格的になかなか手の届かなかった1Ds系に比べてぐんっと身近な価格になりました (でも、決して安くはありませんが) 。フルサイズ撮像素子を使った一眼レフがどうしてこんな価格で手にはいるようになったか、いま、ぼくはとっても興味があります。




 ボディはマグネ合金製です。ずしりっとした重量と質感があってEOS 20Dなどとは違って“ワンランク上”の印象を受けます。でも「プロ向け」ではなく「ハイアマチュア向け」のカメラと位置づけられています。ファインダーを覗くとやはりほっとします。大きくてゆったりした見えです。当たり前のことですが24mmレンズをセットすれば24mmの画角です。ナン10年と慣れ親しんでカラダに染みついている「焦点距離と画角」でモノが見えます。ぼくにはこれはなによりもウレシイことです。いや、こうしたウレシイ感覚はフィルムカメラからデジタルカメラに移行した“古い人たち”だけのものかもしれませんね。ハナっからAPS-Cサイズのデジタル一眼レフしか知らない“新しい人たち”には、ナニをつまらんことにこだわっておるのか、と失笑されるかもしれません…。
 この5Dについては、「ハイアマ向け機種」のこと、フルサイズCMOSのこと、2.5型液晶モニターのこと、ピクチャースタイルのこと、そして画質のことなどなど、お話ししたいことがたくさんあるのですが、どこからどんなふうに話をすればいいのかわからない。同時発表されたEOS-1D Mark2 Nも使ってみましたが、このカメラもまた5Dと同じように多くのことを考えさせられました。

2005年8月29日(月) 

2005年8月30日(火) 

2005年8月31日(水) 


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tanaka@thisistanaka.com
Akiary v.0.51