「広告」をまったく意識しないで撮影してきた京都のスナップ写真をもとにして、観光ポスターふうに仕上げて写真展にしてしまおうといのがその企画の始まりでした。
こうして仕上げた写真とコピーの共同作業を全国5カ所で写真展にして開催をしました。
もとはといえば、当時の「広告批評」編集長の天野祐吉氏のアイディアでした。そしてこの企画に、第一線で活躍中のコピーライターやデザイナーの方々がこころよく参加してくださいました。
撮影者のわたしのほうからコピーを書いていただく人たちにお願いしたことは、ただ一つ「写真の内容とはまったく違ったコピーを…」ということだけだったのです。映像言語と文字言語が一枚の写真の中で、意味のベクトルがばらばらに違った方向に進み、あるいは混じり合うことで、見る人に新しい想像力を広げられるのではないだろうかと考えていたからでした。
こちらの身勝手なお願いに応えていただいたコピーライターは、仲畑貴志、岩崎俊一、黒田 明、今西 慧の各氏でした。また「写真にはどこかに向かう方向性がありますから、その方向にコピーを置くようにしましょう」と、写真一枚づつを違ったデザインに仕上げていただきました。デザイナーの葛西 薫氏にも感謝すること甚大です。なお、葛西氏を除くコピーライターの各氏はすべて、わたしと同じ年代の京都市の出身でした。